壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

空洞地球 ルーディ・ラッカー

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空洞地球 ルーディ・ラッカー
黒丸尚訳 早川書房 1991年 640円

ポオの「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」のヴェルヌ的解決編である「氷のスフィンクス」に引き続いて読んだのは、ラッカーによって語りなおされたポオの物語です。・・と言い切るにはあまりにも自由奔放、奇想天外なのですが・・・

南北戦争前のヴァージニアで少年メイスンは崇拝する作家ポオに出あい、気球に乗って極地探検に向かい空洞地球への入口を発見。地球内部を探検して最後には帰還します。

「ピムの物語」で南極から故国へと帰還した経路についてポオはなんの解決策も示しませんでしたが、「氷のスフィンクス」のヴェルヌはピムの手稿のみが残ったのだという解釈。ところがラッカーの解釈は空洞地球です。地球内部に巨大洞窟があるという並みの解釈ではなく、地球内部の巨大空間に空間の特異点があるというハードSF的な設定なのですが、地球内部での大冒険は、ポップというよりサイケデリック。「テケリリ」はジュウベという薬物による幻覚なのかあ~、それとも巨大軟体動物なの? わけわかんないですけど、地下世界はアニメにしたら楽しそう。

ルーディ・ラッカーは数学者なんですね。アインシュタイン・ローゼンブリッジなんていう解釈がある『編者注記』にはじめは気が付かなかったのですが、この辺の構成もポオの「ピムの物語」を下敷きにしているようです。

作家ポオの虚実一体(というより『ウイリアムウイルソン』のような二体?)の姿、ポオの作品とそれに登場する人物が入り乱れて奇妙奇天烈なイメージですが、最近ポオの全集を読んだばかりなので、かなりたくさんのポオ作品を引用、模倣している部分を楽しむ事ができました。

「『十五少年漂流記』への旅」がきっかけで漂流・無人島物の追いかけを始めましたが、モチベーションが下がってきたので、そろそろ漂流記も終わりにしないと読書がはかどらなくなりました。

明日から数日間、ネットにアクセスできないかもしれませんので、しばしお休みです。といってもこの頃ずっとお休みしてましたが・・・・その間に返却期限の迫った本を読了する予定です。