雑草のくらし あき地の五年間 甲斐 信枝(著, イラスト)
福音館の科学シリーズ 図鑑カフェ

長い雨のあと、久しぶりに散歩していると、手入れの行き届かない耕作地が、一面の雑草で覆われていました。雑草たちはなんて元気なんだろう!と感心したのです。その途中に寄った博物館の図鑑カフェで、この本が展示されていました。グッドタイミングの出会いです。自販機のアイスコーヒーを飲みながら、絵本を読みました。
著者の甲斐信枝さんは、三年前に93歳で亡くなりましたが、植物や昆虫を題材にした絵本の著作がたくさんあります。この『雑草のくらし』は草刈が終わった畑の中の空き地で、五年間どんな雑草が増えていくかを観察して絵に描いたものです。
生態学の研究手法にコドラート法(方形区法)というのがあって、その区画の中にどんな植物種がどれくらいあるかを調べるものです。甲斐さんの観察も、まるでそんな研究のように、空き地の変化を五年間追い続けています。観察は科学的ですが、その表現はもっと楽しくて、雑草たちに寄り添った心温まるものです。
なにも生えていない空き地に、春一番にメヒシバが芽を出し、背の低い雑草たちが育っていきます。花を咲かせ、実をむすび、種をまき散らしていく。しだいに大型の雑草オオアレチノギクやセイタカアワダチソウが優勢になり、そしてつる性のヤブガラシやクズが繁茂していきます。植物に集まってくる昆虫や動物達の姿もありました。
一時期、我が家の前の空き地は季節になるとセイタカアワダチソウに占領されていましたが、今は数がすっかり少なくなりました。アレロパシー(他の植物の発芽や成長を抑える物質を出すこと)が自滅的に働いているという説もありますが、生物というのはもともと栄枯盛衰の中で生きているのです。
著者の甲斐さんには、90歳で出版された『あしなが蜂と暮らした夏』という著作があります。アシナガバチが青虫狩りをする姿に魅せられて、蜂たちを幼虫から育てることになったという話だそうです。面白そうなので、図書館に予約します。
我が家の庭で、アシナガバチが青虫を肉団子にしているところに出会ったことがあります。巣に近づいたりしなければ刺さないのですが、私は飼おうという気にはなれませんでした。