壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

薔薇の家、晩夏の夢 倉阪鬼一郎

イメージ 1

薔薇の家、晩夏の夢 倉阪鬼一郎
創元クライム・クラブ 2010年 1900円

 

三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人』で衝撃的な出会いをしてしまった倉阪さんの最新作を見つけました。耽美!? 最初のエピグラフは、イリアム・ブレイク「薔薇と暗号に満ちた幻想的ミステリ」との謳い文句。もうこれは読むしかないです。

 

赤いランドセルを背負い、薔薇の生い茂る丘に建つ夏彦伯父さんの館への道を行く。訪れるたびに出される「宿題」に頭を悩ませるのが楽しかったミコとマコだが、風が吹く初夏、体調を崩していた伯父さんがついに死んでしまった。初めて触れる「死」という概念に、ミコのなかで何かが変わっていく……。ミコも変わった。パパも変わった。変わらないのは窓辺で微笑む美しいママだけ。そして伯父さんが託した最後の「宿題」から、丘の上の鎖された世界の秘密はほころび始めた──。

 

作中の詩文に何かが隠されているだろうな、たぶん文字の配列に謎があるんだろうな、とは思いましたが、ちょっと見ただけではわかりません。『三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人』ほどのあきれた仕掛けではないので(いやいや充分に偏執的かな)、途中で後のページをパラパラしないでね。

 

ミコという子供の視点で語られる物語が薔薇に満ちた世界を構築し、それが後半で次々とほころびていく様子はなかなか面白いです。でも暗号は、私には難しすぎて?自力では解けません(解く気もないですが)。それに・・・・あえて言えば、暗号は無くてもいいのではないかとさえ思うのです・・・・。今回は仕掛けにのれなくてすみません、なんだか申し訳ないので、『遠い旋律、草原の光』というのを読んでみます。