「イスタンブール」で取っ付きの悪い思いをしたオルハン・パムクの、小説の方は後回しにして、講演集と対談を読んでみました。直訳風の独特な訳文は、講演の同時通訳のように考えたら、違和感なく読めるようになりました。
「父のトランク」とは、プロの作家となったオルハン・パムクさんのところに、ある日父が持ってきたトランクのこと。その中味は作家志望だった父が若い頃に書いたものだった。父親への思いと息子への思いが交錯する”ちょっといい話”でした。
フランクフルトでの講演は、“トルコと西欧の関係”、“作家にとって書くとは何か”といったことがテーマです。
“西欧化主義の中にある西欧に対する「恥」の感情と、その感情と表裏一体である「誇り」の感情が民族主義として表れるということ。”
“良い文学が語りかけるものは・・自分を他者の立場におくことができる能力”
パムクさんは、トルコ国内で政治的になかなか難しい状況に立たされていたことがあったけれど、ノーベル賞受賞によってずいぶんと扱いが変わったようです。イスラムでありながら、ヨーロッパに最も近い国トルコのEU加盟問題など、もっと知らなければならないと思いました。
佐藤亜紀さんとの対談は、「わたしの名は紅」の出版に際して来日した時のものだそうです。「わたしの名は紅」は、そのうち是非読みたい。
対談で、なぜか笑ってしまったところ↓
パムク:・・あなたのお書きになる作品で、人を殺す場面とか、よく殺されますか。
佐藤:たまには。
・・・・・・
パムク:・・・(原稿が出来上がってからも本の題名を決められない話で)それでも最後はどうやってつけますか。
佐藤:編集者にどつかれてしかたなく。
パムク:私もそういうことがありました。
パムク:・・あなたのお書きになる作品で、人を殺す場面とか、よく殺されますか。
佐藤:たまには。
・・・・・・
パムク:・・・(原稿が出来上がってからも本の題名を決められない話で)それでも最後はどうやってつけますか。
佐藤:編集者にどつかれてしかたなく。
パムク:私もそういうことがありました。
薄い本なのですぐ読めてしまうけれど、そんな読み方しかできないのがちょっと情けない。