壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

家守奇譚 梨木果歩

先週、一週間ぶりに家に帰ったら、萎れた鉢植えとは対照的に、ドクダミがわんさか伸びて花盛り。あと二週間留守にしたら、雑草たちに庭を乗っ取られる事は確実!でも、何年も手を入れずにうっそうと茂った植物に囲まれて暮らすのもいいかなあ、なんて思う本でした。↓
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家守奇譚 梨木果歩
新潮社 2004年 1400円

児童向けの本に苦手感があって、なかなか手が出せなかった作家です。でも『渡りの足跡』で、自然描写の上手さに圧倒されて読みたくなりました。

百年位前、人が狐狸にだまされるのが日常だったころ、亡くなった友人の実家で暮らす綿貫という売れない作家が、日々体験する不思議な出来事が描かれています。でも怪異とは感じられないのです。自然豊かな四季の移り変わりの中で、植物や動物がもつ生命力が、不思議で楽しくて、ほんのすこしコワい現象として現れるのではないでしょうか。身近な植物名を冠した二十余の章は、とてもうれしい。一週間くらい留守にして放っておいても心配ないゴローのような犬が飼いたい。