壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

シューマンの指 奥泉光

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シューマンの指 奥泉光
講談社 2010年 1600円

朝六時に起きて、この本を開きながらテレビをつけると、シューマンのピアノ協奏曲が鳴っているではありませんか。その偶然に気をよくして読み始めました。そうか生誕二百年でしたか。「楽しき農夫」や「トロイメライ」以外、シューマンピアノ曲にはあまりなじみがありませんでしたが、登場する曲をネットや何やかやで聴きながらだと、難解な楽曲分析や作品論もわかったような気がして(気のせいですけどね)、結構楽しめました。

高校時代、音大を目指していた語り手(里橋優)は、二学年下の天才美少年ピアニスト永嶺修人(まさと)と出会います。シューマンにのめりこむ永嶺修人、そんな彼に焦がれる語り手。ある事件がこじれて永嶺修人は、ピアニストとして致命的な怪我を負う。ところがその彼がピアニストとして復活したとのうわさが・・

音楽三昧の青春は、ちょっと耽美なBL小説風だと思っていたら、やっぱりそっちのほうに行きましたか。ミステリだとは思っていなかったので、最後のどんでん返しには素直に驚かされましたが、ちょっとひねり過ぎ。それよりも、人間にとって音楽とは何なのか? なんでこんなにのめりこみ、また音楽を失うという事態が起こるのか?という疑問がわきました。で、次の読書予定がちょうどオリヴァー・サックスの『音楽嗜好症』。翻訳されるのを何年も待っていた本なので、ことのほか嬉しい!

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読みながら聴いたシューマンの楽曲
ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54
花の曲 変ニ長調   Op.19
トッカータ ハ長調  Op.7
フモレスケ 変ロ長調 Op.20
交響的練習曲    Op.13
幻想曲 ハ長調    Op.17
交響曲第3番 変ホ長調『ライン』Op.97
ピアノソナタ第3番 ヘ短調 Op.14


それと・・・シューマン(地元で評判のケーキ屋さん)の「野いちごのパイ」、明日は誕生日なので買ってこよう・・・でも小さいケーキを一個だけってなかなか買いにくいんですよね~