うちのごく近くの木立には数年前からカラスが営巣していました。カラスの糞害には悩まされましたが、春になると抱卵して騒がしく野良猫を追い払い、幼鳥が巣立ちの練習をする姿を楽しみにしていました。でも先月その木立がだいぶ伐採されたので、小枝を運んで飛んでいるカラスの姿を見かけましたが、今年はもうここにはカラスは来ないでしょう。カラスの巣をのぞいてみたいと思っていたら、こんな本を見つけました。
表紙にあるようなカラスの巣の写真を、北海道から沖縄までひたすら取り続けた写真集です。カラスたちは手間をかけて集めた細かい巣材を編みこんで巣を作りますが、その巣材は天然物も人工物も環境によってさまざま。ハンガー、グラスウール、化繊綿、ロープ、ビニール紐。犬の毛、タヌキの毛、馬の毛、そして人毛まで・・・・。大量のタヌキの毛が使われていた巣の近くには、タヌキの死骸がありました。多量の人毛の意味するものは何? カラスの巣からニッポンの社会が見える、面白い写真集でした。