壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

女中譚 中島京子

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女中譚 中島京子
朝日新聞出版 2009年1400円

昔女中や女給やダンサーをしていたという九十歳のすみばあさんは、秋葉原メイド喫茶にたむろして、自身のしたたかな人生を軽妙に語る。

昭和初期の「女中小説」をトリビュートした連作短編集だそうです。元の作品(林芙美子「女中の手紙」、吉屋信子「たまの話」、永井荷風「女中の話」)を読んだことはありませんが、昭和初期の作品の描かれた時代の風俗やそれぞれの作家の作風が透けて見えるようで面白くもあり、同時に元の作品がどんなものなのかとつい詮索して落ち着かない気持ちにもなりました。

本歌取りの本歌の方を読むべきなのか否か迷いますが、探してまで読むのはネタバレのような感じで芸がないし、かといって気になるし・・・・、昔に読んでいてかすかに覚えているなんていう状況がベストかしらね。