「雪沼とその周辺」の続編に当たるのでしょう。地方の小さな町に暮らす人々の日常を描いた連作短編です。いくつかの作品に登場するのが同じ少年なのかどうかはハッキリしません。むしろ意図的にずらして描かれているのでしょうが、それでも父親が出て行ってからこの町にやって来た少年が印象的です。
「トンネルのおじさん」の風景もとても魅力的です。鉄道のしたをくぐる煉瓦造りの隧道、叔父とお揃いの小ぶりの革靴が何を意味するのかは明かされないけれど、叔父と甥のそれぞれに抱えているものが重なり合う瞬間がとらえられています。
ほんの少し前まで自分が住んでいたのではないかと錯覚するくらい懐かしい世界のようにも思えるのですが、一方、作り上げられた人工的な異世界に迷い込んでしまったような妙な違和感を覚えるのはなぜなのでしょうか。
滑走路へ
苦い手
なつめ球
方向指示
戸の池一丁目
プリン
消毒液
未見坂
トンネルのおじさん
苦い手
なつめ球
方向指示
戸の池一丁目
プリン
消毒液
未見坂
トンネルのおじさん