通訳 ディエゴ・マラーニ、と通訳/インタープリター スキ・キムを読んだときに教えていただいた同名本です。毎月たくさんの本が出版されるわけですから、同じ題名の小説の本があるのは当然。それでもまったく同じにならないように微妙に変えてあります。もちろん故意に同じ題名を使うこともあるでしょう。同じ題名の小説にどんなものがあったか考えていたら、「失楽園」「愛人」「密会」「女の一生」なんていうのを思いついてしまったけれど、偏りすぎですか。
国連本部の通訳シルヴィア・ブルームは数ヶ国語に堪能です。あるとき彼女はマトボ共和国大統領の暗殺計画を耳にしました。旧フランス領マトボ共和国ではボパとクーの間の民族対立が激化し、ズワーニ大統領はクー族の民族浄化を行っていると非難されています。当局は国連議場での大統領暗殺という大胆な手口に疑問をいだきます。シークレットサービスのトビン・ケラーが警護と捜査のために動き始めるのですが、シルヴィアが何かを隠しているのではないかと疑ってもいます。
捜査が進むにつれてシルヴィアの過去が明らかになり、冒頭のマトボ共和国での酸鼻なシーンとつながっていきます。家族を失ったシルヴィアの悲しみと怒りが後半のテーマです。「銃のような即効性はないけれど、言葉の力を信じたからこそ通訳になった」という彼女は、再びそれを信じることができるのか、最後に重い選択を迫られます。
巻末に解説がないので詳細は分かりませんが、同名の映画があるようですし、読んだ感じではノベライズみたいです。重い題材にもかかわらず、ずいぶんと話の展開が速くてあっという間に読み終わって、アフリカで育ったシルヴィアの人物像をつかめないままになりました。ちょっと物足りなくてyou tubeで二コール・キッドマンを見ました。
「シドニー・ポラック」&「アフリカ」つながりで、返却期限の迫った「アフリカの日々」(ディネセン)を読み始めました。長いです。