壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

信じぬものは救われる 香山リカ×菊池誠

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信じぬものは救われる 香山リカ×菊池誠
かもがわ出版 2008年 1400円

暑い日が続くので、厚い本は読めそうにありません。薄い本を新刊コーナーで探してみました。「疑似科学入門」の参考図書にあった「超常現象をなぜ信じるのか」という本の著者の菊池聡氏と勘違いしたのですが、菊池誠さんはニセ科学に関する研究をしている物理系の研究者でした。香山リカ氏の著作も読んだことがありませんが、面白い対談集でした。

悪徳商法やカルト宗教などにだまされて明らかに被害を受けた場合はともかく、「前世がわかる」スピリチュアルなカウンセラーや占い師がTVで高視聴率を取ったりベストセラーになったりしていると、人々はだまされたがっているように見えると、香山さんは言っています。「霊視のほとんどは脳科学で説明がつく」という授業を行った後に、学生の「それでも(霊視を)信じます」という感想が多いそうです。

「信じていたほうが気持ちがラクで夢がある」と考えている人たちを放っては置けないけれど、「スピリチュアルやニセ科学は正しくない」とその偽りを暴いて批判するだけでは不十分で、科学的真理を主張するあまり、知らないうちに人の心を傷つけた科学や医学にも責任がある(まえがき)そうです。

気楽な対談という感じですし、こういう話題ですからまとまった結論があるわけではありません。印象に残ったのは、スリピチュアルにはまることとニセ科学にだまされることの間には共通点があるということ。その原因のひとつが思考の単純化で、なんでも白黒をつけたがる二分割思考に原因があるといいます。マイナスイオン(科学的には間違ってる)は体にはいい!とか、人工的なものは全部だめ!とか、二分法で考える傾向があるそうです。

香山さん曰く、「二分割思考は何か葛藤が生じたときに、それを自分のなかに受け止めきれないから、オールグッドかオールバッドという二つの極でものごとをとらえて、丁か半かみたいな感じ。だから「今日は気分が最高」と思うと、次の瞬間に「もう死にたい」とかになる。それは自分のなかがスプリットしていて世界に対してもそういう見方しかできない原始的防衛規制、葛藤を回遊するための防衛メカニズム。」  これには納得しました。混乱しているときってこんな極端な考え方に陥ることがありますね。

この本に関し、瀬名秀明氏の発言を見つけました。著者の菊池さんとの論争が展開していますが、この本に内容に関してというより、別の話「パライブ問題」のようでした。PC画面で字をたくさん読んでしまい、目が疲れました。空を眺めると空がピンクに染まっていました(日曜日(7月27日)の夕方)。目が疲れたせいではなく、ホントにこんな色でした。
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