「日本のルイセンコ論争」の著者、科学史家である中村禎里さんはいつの間にか「民俗生物学」者として河童の研究をしていると知って、読んでみたいと思っていたのが「河童の日本史」や「日本人の動物観」だったけれど、新刊を見つけたのでまずはこの本から読みました。
約30年に及ぶ研究活動の最後に、落ち穂拾いのように、本になっていなかった文を集めたとか。論文風のものもエッセーもあって気軽に読むことができました。狸(タヌキ)と狢(ムジナ)はどう違うのか、河童とは何者など、各地の伝承や、史実・文学を渉猟して自由な発想から論じています。エッセーで物足りない部分がありますので、別のまとまった本を読む予定。子供向けの「動物たちの霊力」をまず探してみましょう。
タヌキと言えば、「平成狸合戦ぽんぽこ」。これはジブリの中で大好きなもののひとつです。多摩丘陵に住むタヌキたちが、化学(ばけがく)を駆使して開発に抵抗する物語ですが、四国と佐渡には加勢を頼んだ有名な狸がいたことを思い出しました。
この本によれば、四国と佐渡はタヌキ信仰の多い地方で、事実、キツネがあまり生息していなかったらしいのです。佐渡の相川には、稲荷の赤い鳥居の代わりの白い鳥居をもった狢祠があるとか、徳島の無数のタヌキ祠は修験道と関係があるとか。
そういえば、四国出身の祖母の昔話にこんなのがありました。幼いころ何度もせがんで話してもらいました。
昔、松山に初めて鉄道が敷かれたころのことです。蒸気機関車の運転士がある晩、向こうから直進してくる別の蒸気機関車に気がつきました。むろん単線ですから正面衝突を覚悟しましたが、軽い衝撃だけで大事故にもならずそのまま通り過ぎました。あくる朝、その現場にはたくさんのタヌキの死骸があったそうです。
タヌキが蒸気機関車のまねをして遊んでいたのか、人間に対抗しようとしたのかはわかりませんが、かわいそうなような微笑ましいような話でした。
昔、松山に初めて鉄道が敷かれたころのことです。蒸気機関車の運転士がある晩、向こうから直進してくる別の蒸気機関車に気がつきました。むろん単線ですから正面衝突を覚悟しましたが、軽い衝撃だけで大事故にもならずそのまま通り過ぎました。あくる朝、その現場にはたくさんのタヌキの死骸があったそうです。
タヌキが蒸気機関車のまねをして遊んでいたのか、人間に対抗しようとしたのかはわかりませんが、かわいそうなような微笑ましいような話でした。
そうだ、「有頂天家族」読もう!