四月 桜嫌い/五月 鬼/六月 あっという間に/七月 箱の虫/八月 消滅する希望/九月 吉祥果夢/十月 ラビット・ダンス・イン・オータム/十一月 写し絵の景色/十二月 内気なクリスマス・ケーキ/一月 お正月探偵/二月 バレンタイン・バレンタイン/三月 吉凶春神籤
匿名作家の12の短編小説は、語り手は「ぼく」ですが、本格風、ホラー風、学園物風、コージー風など様々な形式でなかなか凝っています。
どこかにヒントはないかと、掲載されている毎月の「社内報の目次」を穴の開くほど見つめたのに、毎度のことながら叙述トリックにはすべて引っ掛かりました。
この短編小説をくくる枠として、何通かの手紙と若竹編集長の「編集後記」があって、全体をまとめるエピソードが浮かび上がってきます。そして最後の最後まで気が抜けないのです。ナルホド巧いなぁと感心して、短編部分を拾い読みしなおして、○○という名まえは私も気が付いていたんだけれどなぁと悦に入ったり、もう一度楽しみました。
ここで出てくる夏見って「死んでも治らない」に出てきましたよね。若竹さんの作品は、どれもがなんとなくゆるくつながっているようです。ということは、もっと読まなければ!