壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

異能の画家伊藤若冲  狩野博幸他

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異能の画家伊藤若冲  狩野博幸
新潮社トンボの本 2008年 1400円

近くの県立美術館の、所蔵する伊藤若冲の樹花鳥獣図屏風の特別展示を見に行く予定がありますが、ちょうど新着図書にこの本を見つけました。カラー図版が豊富で本文はQ&A式ですから、ほとんど眺めるだけ。
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近頃流行りの伊藤若冲は、非常に特異な絵を描く江戸時代の絵師で、その絵はアンリ・ルソーを連想させます。その経歴にもなんとなく共通点があって面白いのですが、絵はほんとにユニーク。本の表紙にある「百犬図」はとってもかわいくて、これが80歳を越えた晩年の作品だとは驚きです。内表紙の「旭日鳳凰図」はさらにすごい。

付喪神図」なんてありえない面白さ。1990年以降に各地で発見もしくは再発見されたものの中にあったそうです。さらに墨絵、木版、戯画のようなものまで、多種多彩です。京は錦小路の裕福な青物問屋の跡継ぎだった伊藤若冲。京都からほとんど出たことがないのに珍しいものが大好きで、外国から来た動植物の絵も豊富です。忠実に写生したものから、どこかシュールなもの、デフォルメされて奇怪なものなど。
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県立美術館に展示されているのは「升目描き」といわれる手法でかかれた屏風です。一センチ四方くらいの升目を塗りわけるタイル絵のような不思議さで、本物を見るのが楽しみです。