フリーの通訳として法廷で働いている韓国系アメリカ人のスージー・パークは、妻子ある白人と付き合い、気楽だけれどどこか不安定な暮らし方をしています。彼女は五歳で両親と年子の姉とともにニューヨークへ移住しましたが、29歳になっても未だにどこの社会にも帰属意識を持つことができないでいます。
儒教的な思想を持ちスージーを二十歳の時に勘当した両親は、彼女が25歳のときに射殺され、姉のグレースとも音信普通の状態です。ある偶然から、彼女は両親の事件の真相を追いかけ始めました。なぜ両親は殺されなければならなかったのか、なぜ姉は家族から離れスージーを避けるのか。
時間軸や視点が小刻みに替わる文章は多少読みにくいけれど、主人公スージーの不安定な立場を表しているようで訴えかけるものがあります。後半からはミステリとしてのストーリーが一気に展開します。そこに見えてくるのは、両親の秘密、韓国系移民社会の暗部、それを取り巻くアメリカの欺瞞でした。