壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

聖遺の天使

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聖遺の天使 三雲岳斗
双葉社 2003年 1500円

短編集「旧宮殿にて」の前に書かれた長編です。

15世紀、北イタリア湖水地方に建つ城砦”沼の館”で、外壁に磔にされて死んだ館主。聖遺物と称される香炉は行方不明となった。聖遺物を手に入れようとするのはローマ法王庁の調査団。

その謎を解くのはクールで皮肉屋の探偵レオナルド(もちろんダ・ヴィンチ)と、白貂を抱く貴婦人チェチリア・ガッレラーニ。そしてミラノの宰相で黒衣の貴族ルドヴィコ・イル・モーロ。

時代がかった舞台や道具立ての雰囲気、登場人物たちの気の利いた会話、スケールの大きな謎解きと最後の締めもいい。どれも“本格”のお約束なんですが、それを軽いタッチで楽しめました。↓ネタバレかな
水に浮かんだ古城はヴェネティアのようです。題名にすでに仕掛けがあるなんて!
ダ・ヴィンチはかなり長い間ミラノにいたみたいだし、チェチリアとルドヴィコの関係にも伏線が張られていて、シリーズ第三作はいつでるのかしら。