壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

白夜行

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白夜行 東野圭吾
集英社文庫 2002年 1000円

1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂―暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んで行く。二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。だが、何も「証拠」はない。そして十九年…。息詰まる精緻な構成と、叙事詩的スケール。心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長篇。

「幻夜」から先に読んでしまったので、なんとなく読みにくくなってしまったのですが、読み始めたら止まらない面白さです。彼ら二人に対するシンパシーの針が両極端に振れて、東野さんにすっかりのせられ一気に読んでしまいました。

証拠はなくとも、雪穂と亮司の二人が犯罪に関与しているのは明らかで情状酌量の余地はないです。しかし事件がおきるたびに新たな登場人物が出てきて過去の不幸な境遇を掘り返すものだから、彼らの心情を勝手に想像して、彼らが罪を犯すようになった経緯を理解しようとしてしまいます。

幻夜」よりもっと面白かったので、この順序で読んで正解(ということにしておきましょう)。