壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

スカイラー通り19番地

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スカイラー通り19番地 E. L. カニグズバーグ
金原瑞人訳 岩波書店 2004年 2100円

久しぶりに帰ってきた娘と一緒に図書館に行きました。彼女が“懐かしい~”と借りてきたのがカニグズバーグの新しい訳本です。慌ただしく帰ってしまった娘に代わって私が読むことにしました。「クローディアの秘密」は読んだ覚えがありますが、カニグズバーグさんが存命であることも知らずに失礼しました。現在77歳、この本の表紙の絵は自身が描いたものだそうです。

両親がペルーに行っている間、12歳のマーガレット・ローズはサマーキャンプに滞在することになったのですが、同室の女の子たちとはうまくいかずに嫌がらせを受け、大叔父のアレックス、モリス兄弟のところで夏を過ごすことになりました。ところが大好きなおじさんたちの様子が少し変です。四十五年も作り続けている庭の三本の塔が、地域の再開発という名目のために取り壊されそうになっていました。

マーガレットが、サマーキャンプで嫌がらせに耐えて「God Save the Queen」を二番の歌詞で歌うのも、「できればしたくない」と答えるのも、とってもいい(チャンスがあったらやってみたいものです^^)。大叔父さんたちのキャラクターの魅力的なこと!キャンプの校長の息子ジェイクも。マーガレットが塔を守ろうと決意するあたりは、読んでいて元気が出ます。  

彼女の塔を守るための戦いは、子供ができる精一杯の事だったと思います。現実的な解決方法は大人たちのもので、あまりに現実的ともいえますが、十数年後の後日談の部分でなんとなく納得。ドラゴンや洞窟や無人島がなくても、日常の生活の中で、子供は夢見る事ができるし、ヒロインにもなれるんです。結末がすべてバラ色とはいかなくてもね。

PS:本の表紙をアップしてみて、バラの絵の上に足場の影が映っている事に初めて気がつきました。