壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

カンガルー日和

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カンガルー日和 村上春樹
講談社文庫 1986年 440円

村上春樹は、三十代のころに「羊をめぐる冒険」「世界の終わり**」「ノルウェーの森」を発売と同時によんだような覚えがあります。それ以降読みたいと思わずにいましたが、今になって少し気になります。手元に未読の文庫本と単行本が数冊ずつあり、もったいないからという理由をつけて読み始めました。

まずは初期の短編集「カンガルー日和」からです。いくつかの短編には、既視感(というか既読感)がありました。私の海馬歯状回が壊れているのか、実際に昔読んだ事があるのかどちらかと思いましたが、後の長編に出てくるモチーフがいくつか見られ、習作とも言える短編のせいなのかもしれません。

1980年代初めに書かれたこれらの短編には、1960年代から70年代にかけての懐かしい風景がたくさん出てきます。音楽も文学も映画も題名を聞いただけで、いろいろな事がいっぺんに思い出されるようなものばかりでした。村上春樹と同じような年代だから当たり前なのですが。

最後の「図書館奇譚」には羊男が出てきましたが、既読のはずの「羊をめぐる冒険」をほとんど思い出すことができません。「ダンス・ダンス・ダンス」を読む前に再読したほうがいいみたいです。いや、「風の歌を聴け」が先かな。若いときに読むのとは、また違った楽しみ方ができるかもしれません。