作者の死後に出版された唯一のフィクションだそうで、短編集としてのまとまりはあまりありません。
「青の物語」
幻想的な詩のような一編。サファイアを求めて東方へと地中海を渡ったヨーロッパの商人たちの、「千一夜」風の冒険譚でもあるのですが、筋書きよりも湧き出る青という色のイメージが美しく印象的です。空、海、山、水、石、肌、髪、宝石、煙、影とすべての風景と事物の中から、青の成分を抽出し純化して、再び物語を青く染め上げていくように描かれています。
幻想的な詩のような一編。サファイアを求めて東方へと地中海を渡ったヨーロッパの商人たちの、「千一夜」風の冒険譚でもあるのですが、筋書きよりも湧き出る青という色のイメージが美しく印象的です。空、海、山、水、石、肌、髪、宝石、煙、影とすべての風景と事物の中から、青の成分を抽出し純化して、再び物語を青く染め上げていくように描かれています。
この物語には出てこなかった、浅葱や縹色といった典雅な和名をもつ青も思いましたが、私が一番好きな青はラピスラズリの深い色です。この宝石を砕いて作ったウルトラマリンという顔料はフェルメール・ブルーとして有名です。ユルスナールには「赤の物語」「白の物語」の構想もあったとか、読みたかったのに残念です。「東方綺譚」に入れてもいいような逸品。
「初めての夜」
ユルスナールの父親が書いた短篇を、ユルスナールが手を入れて発表したものだといいます。新婚旅行に向かう男の意識の流れそのままを綴ったもので、「アレクシス」のように読みにくく、こういうのは苦手ですw
ユルスナールの父親が書いた短篇を、ユルスナールが手を入れて発表したものだといいます。新婚旅行に向かう男の意識の流れそのままを綴ったもので、「アレクシス」のように読みにくく、こういうのは苦手ですw