壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

雲雀

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雲雀 佐藤亜紀
文藝春秋 2004年 1619円

佐藤亜紀三連発。「天使」の前後の話。数日前に「天使」を読んだばかりなのに、登場人物の名前を忘れていて、我ながら驚きます。東欧系の名前になじみが薄いためというより、短期記憶が定着しないということでしょう。

やっと名前を思い出せば、後はもう物語に一気にのめりこめました。面白いほど忘れるので(忘れるほど面白いので)、最低限メモっておきましょう。「王国」はオットーとカールがジェルジュの部下になるまでの話。「花嫁」はジェルジュの両親の話。母親ヴィリの「感覚」は超弩級。「猟犬」帝国解体後の帝政派との興亡。ジェルジュを襲撃したヨヴァンは天使の登場人物。祖母と叔母たちの家がよかった。「雲雀」スタイニッツ亡き後、ジェルジュの身の振り方。スパイが引退するのはなかなか大変。

「感覚」を持つもの同士の超能力戦の記述はすばらしいですね。この物語の白眉です。「雲雀」最後の、「あのお巡りの名前」のくだりは笑えました。いい終わり方です。