壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

世界の歴史5 ギリシャとローマ

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世界の歴史5 ギリシャとローマ
桜井万里子/本村凌二 中央公論社 1997年 2600円

ユルスナールの「ハドリアヌス帝の回想」を読むために、ローマの歴史をざっと復習するつもりでした。たくさんの作家がこの時代を題材にしているだけあってローマ史は面白く、結局全部読みました。はやく塩野さんの「ローマ人の物語」を読み始めようと思いました。もちろん、ハドリアヌスもです。

なぜ、ローマ帝国西ローマ帝国)が滅んだのかについて、著者(本村)は、「ローマは殺されたのではなく、死んだのだ。しかもガン細胞に蝕まれたのでなく、脳卒中に襲われたのでもなく、ローマは老衰して息絶えたのだ」といっています。ゲルマンという犯人に殺されたわけではない、キリスト教というガン細胞が侵食したのでもない(キリスト教は良性の腫瘍であり、悪性ではなかった)、西だけが半身不随におちいったというより、天寿を全うしたのだろうと。宗教と病気のアナロジーは納得です。この時代を、没落や衰退ととらえず、変容と転換の過程としてとらえる事もできるということです。