ユルスナールの「
ハドリアヌス帝の回想」を読むために、ローマの歴史をざっと復習するつもりでした。たくさんの作家がこの時代を題材にしているだけあってローマ史は面白く、結局全部読みました。はやく塩野さんの「
ローマ人の物語」を読み始めようと思いました。もちろん、
ハドリアヌスもです。
なぜ、
ローマ帝国(
西ローマ帝国)が滅んだのかについて、著者(本村)は、「ローマは殺されたのではなく、死んだのだ。しかもガン細胞に蝕まれたのでなく、
脳卒中に襲われたのでもなく、ローマは老衰して息絶えたのだ」といっています。ゲルマンという犯人に殺されたわけではない、
キリスト教というガン細胞が侵食したのでもない(
キリスト教は良性の腫瘍であり、悪性ではなかった)、西だけが半身不随におちいったというより、天寿を全うしたのだろうと。宗教と病気のアナロ
ジーは納得です。この時代を、没落や衰退ととらえず、変容と転換の過程としてとらえる事もできるということです。