「ミラノ霧の風景」の「きらめく海のトリエステ」、「トリエステの坂道」で語っていたウンベルト・サバにたいする、須賀さんの思い入れに惹かれて、サバの詩を読みました。装飾のための言葉は一つもなく、古典からの引用や言及がすくないやさしく平易な詩ですが、トリエステでの家族との日常生活のよろこびと、それ以上に深いヒトの哀しみがせまってきます。須賀さんの訳があって初めてこの詩を味わう事ができるのでしょう。
詩を、ましてや訳詩を読む機会はほとんどありません。詩は黙読には向かないものでしょう。声に出して詩や文を読む行為は高校時代で終わりでした。子供が小さい頃にお話をたくさん読んであげたのはカウントできませんが、そういえば小学校低学年の子供と一緒に詩の朗読の練習をしたことがありました。