壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

淋しい狩人

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淋しい狩人 宮部みゆき
新潮文庫 1997年

「古本屋」から思い出して再読です。図書館が蔵書整理で休館だったため、古い本を出してきて読んでいます。どういうわけか、宮部みゆきの文庫本だけは処分することなく本棚に並んでいます。

雇われ店主のイワさんが切り盛りするのは下町の小さな古本屋です。高校に入ったばかりの孫の稔が週末に手伝いに来てくれますが、二人して近所でおきた事件に首を突っ込む羽目になるのです。

どれも、「本」と絡んだ事件です。推理小説ですから、せめて出てきた「本」だけをあげておきましょう。

六月は名ばかりの月・・・ビル・S・バリンジャー「歯と爪」
黙って逝った・・・長良義文「旗振りおじさんの日記」
詫びない年月・・・?「殺人術」など
うそつき喇叭・・・?「うそつき喇叭」
歪んだ鏡・・・山本周五郎赤ひげ診療譚
淋しい狩人・・・安達和郎「淋しい狩人」

たぶん交互に架空の本がまざっているようです。本の中の、架空の本というのが大好きです。特に「うそつき喇叭」は、つい、アマゾンや図書館検索で探してしまいました。どうも架空の絵本らしいのですが、どこかで見たような気さえします。

イワさんと稔のほほえましいやりとりは稔の成長と共に中断しましたが、稔がもっと成長すればさらに別のいい関係を築いていくでしょう。どれも人の心の暗い部分に関わる事件でしたが、宮部みゆきの仕掛けにのって、最後にほっとするのです。