壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

風の影

イメージ 1

風の影 カルロス・ルイス サフォン
木村 裕美 訳 集英社文庫 2006年

読み終えた本を貰いました。大して面白くないだろうとほうっておいたのですが、読む本がなくてやむを得ず読みはじめたら、面白い!

アマゾンの紹介では、1945年のバルセロナ。霧深い夏の朝、ダニエル少年は父親に連れて行かれた「忘れられた本の墓場」で出遭った『風の影』に深く感動する。謎の作家フリアン・カラックスの隠された過去の探求は、内戦に傷ついた都市の記憶を甦らせるとともに、愛と憎悪に満ちた物語の中で少年の精神を成長させる…。17言語、37カ国で翻訳出版され、世界中の読者から熱い支持を得ている本格的歴史、恋愛、冒険ミステリー(「BOOK」データベースより)

「忘れられた本の墓場」の風景が魅力的で、最後まで一気に読んでしまいました。現在と過去を行き来しながら重層的に進行する物語は、テレビ画面に現れた変調したゴーストを見ているようで、不思議な感じです。結末は予想の範囲内でしたし、フメロという人物の内面に納得できなかったけれど、読むのを中断できませんでした。謎解きが一気に進む下巻より、上巻のほうが暗い雰囲気でよかったと思います。

読む本がなくなりました。図書館に行くか、本棚に隠れた本を探すか、です。「忘れられた本の墓場」は自分の頭の中にあるのでしょうか。