壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

砂漠の船

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砂漠の船 篠田節子 双葉社 2004年 1600円

両親の出稼ぎ経験をもつサラリーマンの、単身赴任を断わってまでニータウン団地という地域社会に密着した家庭生活を守りたいという願いが、妻や娘に受け入れられず、徐々に崩壊していく家庭。ホームレスの死から、地域社会の相互監視と抑圧に気付いていく主人公。読んでいる間に感じた、何かざらついた落ち着かなさは、ホラー小説のそれだったようですが、最後に主人公の脳裏によぎる、砂漠をバックにした大型船の姿は、絶望なのでしょうか。それとも希望につながるのでしょうか。