黄金蝶を追って 相川英輔
kindle unlimitedで、初読み作家の短編集。日々の暮らしの中に紛れ込んでくる不思議な事に戸惑ううちにいつの間にかそれを受け入れる。そして、自分が抱えていた心の疵をそっと手放して、癒されていく…という、すこしエモーショナルな話が多い。ただの「いい話」には食傷するが、これはそうではない。結末までの持って行き方に、各話それぞれの驚きがあって、楽しく読んだ。
「星は沈まない」不本意にもコンビニ店長を務めるアラ還の須田俊寛。店舗に導入されたAIシステム〈オナジ〉に対して複雑な思いを抱くが、次第に心が通うようになる。
♪いつか、AIと人間がこんなふうに共感しあえるようになるのでしょうか。
「ハミングバード」三十代後半の裕子が購入した中古マンションに、前の所有者が半透明の姿で現れる。幽霊なのか幻覚なのかわからないまま共同生活を送る。
♪解決がつくのかもしれないが、穏やかな暮らしを楽しんでいるようにさえ見えます。
「日曜日の翌日はいつも」水泳に打ち込んでいる大学生・宏史に、日曜日の翌日の「第八日目」が現われた。それをトレーニングに充てることで水泳の成績が伸びていったが、奇妙な日がどんどん増えていく。
♪Eight Days a Weekの曲に乗って、青春の孤独と喜びが伝わってきました。
「黄金蝶を追って」1960~70年代の時代を背景に、魔法の鉛筆をめぐる二人の少年の友情が描かれる。
「シュン=カン」遥か未来の宇宙の果ての惑星に収監されているシュン=カンは、支配者の不正を暴いたことで反逆者のレッテルを貼られた。島流しにあった俊寛の運命やいかに。
♪最初気が付かなかったのですが、同じ名前のAIが出てきて、同じ?オナジ? この作品は書下ろしなので、先に発表されていた「星は沈まない」を書いた時点で、このアイデアがあったのかしら、すごいな。
「引力」27歳の葉子は、大した理由もなくノストラダムスの予言が当たることを願ってしまう。予言の日まで一週間を切った時…
♪この先、予想に反して葉子にいいことがあるといいな。