壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

グラーフ・ツェッペリン 夏の飛行  高野 史緒

グラーフ・ツェッペリン 夏の飛行  高野 史緒

Kindle Single

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紙の本に換算すると50頁ぐらいの短い電子書籍です。正味30分くらいで読める。

女子高生の夏紀が,子供の頃に母の故郷土浦で巨大な飛行船を見たというかすかな記憶をたどって,物理学者の卵になっている従兄の登志夫が量子コンピューターで作り出した拡張現実を体験した。それは祖母が若かったころの過去――実際にグラーフ・ツェッペリン号が世界一周の途中に立ち寄った昭和初期の土浦の風景――と双方向につながっていく。

古く懐かしいような昭和の町並みが夢のように立ち現われ,量子コンピューターが介在しなければ美しいファンタジーとしても読める。お祖母ちゃんとも二つ折り携帯で話ができた。最後に「違う世界とか他の宇宙と情報が行き来するような力場はなんと呼べばいいんだろう?」という夏紀の問いに,登志夫は「『気持ち』でいいんじゃないかな」と答えた。

えっ,量子コンピューター要らないかな。