壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

クラゲに学ぶ  ノーベル賞への道 下村脩

震災後に東京へ向かうのに、これまで利用していた高速バスに乗るのが不安で、新幹線を使っていました。所要時間一時間では本を一冊読みきれないし、運賃も倍かかる。ということで、思い切って高速バスで帰ってきました。所要時間三時間で読みきったのがこの本。
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クラゲに学ぶ  ノーベル賞への道 下村脩
長崎文献社 2010年 2400円

『自伝』というよりは『自分史』というようなテイストの本なのですが、科学者らしい客観性をもって、長崎での被爆体験という生い立ちから、アメリカでの長い研究生活、ノーベル賞受賞体験談が、率直・明快に綴られています。教育職に就かず、グラントだけに頼るアメリカでの研究の厳しさに耐えひたすらに励んだ下村さんの人生に感動。また、ノーベル賞受賞後の氏を取り巻く『ノーベル賞狂騒曲』が淡々と語られていて面白い。

それ以上に面白いのが、世界中の様々な発光生物たち。発光過程の化学的研究の第一人者として『Bioluminescence: Chemical Principles And Methods』の著書があり面白そうだが手に入らないので、大型絵本『光る生物』(白水社)を眺めた。付録に蓄光剤入りのポスターが付いていて面白いが、全部の生物が同じ色調で光るのでちょっと残念。イメージ 2
ウッズホール海洋研究所の図書館に額装されているという「最後に立ち去る者より」(p147)に関する逸話は、『ウニと語る』(團勝磨著、学会出版センター、1987年)に詳しい。この本も科学者の自伝として面白い本。イメージ 3