壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

ランポール弁護に立つ ジョン・モーティマー

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ランポール弁護に立つ ジョン・モーティマー
千葉康樹訳 河出書房新社 (KAWADE MYSTERY) 2008年 2400円

リーガル・サスペンスといえば、古いところでガードナーのペリー・メイスン、最近のではスコット・トゥロージョン・グリシャムなど、思い浮かべるのはどれもアメリカ合衆国の法廷物ばかりです。イギリスの法廷での仮装大会のようなカツラと衣装に「オマヌケ感」をぬぐう事ができないのは、私の思い込みなのでしょうか。やっぱり英国法廷物はユーモア小説がお似合いのようです。

ジョン・モーティマーの描くランポールは、あの古めかしいカツラとガウンをつけた法廷弁護士で、法廷ではお金にならない刑事事件ばかり扱い、事務所でもなんだか窓際みたいで、家庭では恐妻家の68歳。一見頼りなさそうなパッとしない人物ですが、犯罪現場に精通し頑固で老獪な一面を持っています。悪党一味に対しても偏見を持たず、権威に対しては反発し、時には鮮やかに逆転判決を勝ち取り、時には負けてがっかりと、ユーモアと人情味のある裁判の展開はなかなか迫力があります。

はじめはモーティマーの脚本でTVドラマとしてスタートし、1978年に小説化されて以来、今日に至るまでドラマも小説も多数の作品が親しまれているそうです。(英国の法廷衣装は、最近一部が民事裁判で廃止になり、作者ジョン・モーティマーも2009年に85歳で亡くなったそうです。)

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