壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

マーチ家の父 もう一つの若草物語 ジェラルディン・ブルックス

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マーチ家の父 もう一つの若草物語 ジェラルディン・ブルックス
高山真由美訳 武田ランダムハウスジャパン2010年 2200円

大昔に『若草物語』『続若草物語』『第三若草物語』『第四若草物語』は読みましたが、そういえばマーチ家の父親の影はごく薄かったと思います。戦場で病気になり帰宅した事は覚えていますが、そのあとどうなったのか、まったく記憶にありません。というわけで、父親不在の物語でもある『若草物語』を、『マーチ家の父』の目線で再構成した『もう一つの若草物語』です。

妻と四人の娘を残して、彼は北軍の従軍牧師として赴いたヴァージニアの戦場で、若き日に行商人として訪れた農園を目にしました。かつてそこで美しい奴隷女性グレイスに出会い、奴隷制度の過酷な現実を知ったのでした。マーチと北部の知識人たち(ソロー、エマーソンら)との交流、逃亡奴隷の支援活動家であったマーミーとの結婚、戦場での負傷の経緯などが、詳しい史実とともに語られます。

原本の『若草物語』のマーチ家の父母は、貧乏であっても熱心な篤志家として聖人のような印象でしたが、ここではかなり非常識なところのある理想主義者であるマーチ家の父(ミスター・マーチと呼ばれ、個人名は出てこないのですが)、気性の激しい手前勝手なマーチ家の母という人物像が、意地悪とも思えるくらい冷徹に描かれています。行き違った夫婦関係もなかなか面白い。また白人目線でしかない奴隷制度廃止運動の実体も垣間見えてきます。

そういえば、冒険物語が好きだった子供の時には、『若草物語』にあまり魅力を感じず、成人してから読んだ続編の物語も節約とか勤勉といったピューリタン的な善意がどうにも苦手でしたので、本書を読んですっきり納得がいきました。マーチ家がなぜあんなに貧乏だったかもよく分かりました(笑)。『若草物語』が好きな人にもそうでない人にも面白い、おすすめの一冊です。

ジェラルディン・ブルックス『古書の来歴』も面白そう。


❀❀❀❀❀❀ RETROの庭 ❀❀❀❀❀❀
スローもロハスも縁遠く、雑草との戦いをさっさと諦めてプランター園芸をしている初心者です。たいした手間をかけなくても、季節が来れば咲く花の記録として不定期掲載。

夏はやっぱりツル物を育てたい!
六月の初めにアサガオ、ゴーヤ、ルコウソウフウセンカズラの種を蒔きました。
アサガオはこの暑さに元気に繁茂して、朝夕の水遣りが欠かせません。(留守にできないのが困ります。)
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下左は越冬した宿根アサガオです。(鉢植えだと花が少ないようです)。下右はルコウソウ(これからが花盛りです。)
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下:ゴーヤとフウセンカズラ(収穫が楽しみです)
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これ以外にも、庭にはヤブガラシヘクソカズラが繁茂しています(泣)。