現在の
少女少年のための物語ではなくて、昔、
少女少年だったわたしたちにあの頃(昨日のように遠い日)を思い出させる物語が並んでいます。
『大洋』
バリー・ユアグロー
自分が想像した大洋に漕ぎ出した少年は、哀しかったかもしれない。
『ホルボーン亭』 アルトゥーロ・ヴィヴァンテ
他の人は誰もおぼえていないけれど、自分だけの特別な思い出ってあるよねえ。
『
灯台』 アルトゥーロ・ヴィヴァンテ
子供時代を通り過ぎるあたりの微妙な気持ち。かつての自分が他人のように思える日。
『トルボチュキン教授』
ダニイル・ハルムス
そういえば、なんでも知ってるふりをしている子がいたなあ。こんな教授に変装してみたかったのかも。
『修道者』 マリリン・マクラフリン
少女とおばあさんは相性がいいらしい。まったく別の時間を過ごしているようなのに繋がっている。
『パン』
レベッカ・ブラウン
少女ばかりの寄宿学校で、朝食のパンを巡って、憧憬と悪意とがうずまく。最後、パンがのどにつかえた~。エリザベス・ボウエンを思い出させる。
『島』 アレクサンダル・ヘモン
伯父さんの養蜂場で過ごした、
サラエボの少年の
ボスニアでの夏。美しい自然と伯父が語る暗い記憶の対比が印象的。
『謎』 ウォルター・
デ・ラ・メア
わたしがもっともっとおばあさんになったら、こんな風に記憶を大きな箱に閉じ込めて、そおっと忘れてしまおう。
そうそう、附録に漫画も付いてます。