壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

有頂天家族 森見登美彦

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森見さんの「夜は短し歩けよ乙女」は楽しかったけれど、若い人たちの大騒ぎについていくのは、年寄りにとっては、ちと辛かった。ところがこの「有頂天家族」では、登場人物といっしょになって楽しめました。登場人物とはいっても、「人間の話」ではなく、「きつねのはなし」でもなくて、「狸の話」。「狸たちの家族愛の物語」なのです。

京の狸たちは、人間たちの年中行事に相乗りしてどこまでも楽しみます。これは桓武天皇の御代から脈々と受け継がれた「阿呆の血」なんだそうです。偉大な父狸下鴨総一郎の辞世の言葉は、「面白きことは良きことなり」。『日本人のタヌキ観^^』を裏書するような物語でした。多摩丘陵のタヌキたちも面白いもの好きでしたね。どんなに真面目にしようとしても、肝心のところでオチャラケてしまう。

偉大な狸であった父下鴨総一郎の亡き後、下鴨矢三郎は母と三人の兄弟と共に、下鴨神社糺の森に暮らしています。愛情深いヅカファンの母、それぞれに個性的な下鴨四兄弟、元大天狗で今はすっかり落剥の身である赤玉先生、小悪魔のような美女弁天、どれもこれも魅力的なキャラクターです。

親戚筋にあたる夷川一家との狸合戦で狙うは偽右衛門の跡目、毎年狸鍋を欠かさない金曜倶楽部という謎の人間集団も加わって、京の町は大騒ぎ。偽叡山電車が疾走し、天狗風が吹き荒れる。人質となった一家の身は如何に! 

★京都はまったく不案内なので、グーグルマップで有頂天家族の地図 を作成してみました。面白きことは良きことなり!! せっかくなので、このまま裏京都にいきます!!