壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

ラークライト 伝説の宇宙海賊 フィリップ・リーヴ

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ラークライト 伝説の宇宙海賊 フィリップ・リーヴ
松山美保訳 理論社 2007年 1800円

「移動都市」や、「掠奪都市の黄金」のフィリップ・リーヴの新たなシリーズです。「移動都市」シリーズはYAですが、本書は小学生中高学年向きです。

ぼく(12歳の少年アーサー)は、ラークライトで、宇宙生物研究家の父さんと、ちょっと気取っている姉ちゃんとの三人暮らし。ラークライトというのは月近くの軌道にある小さな物体でぼくの家なんだ。ある朝、来客を装って巨大グモが襲ってきた。ぼくと姉ちゃんは宇宙海賊の船に拾われて、太陽系を駆け巡る冒険の旅に出ることになった。

半世紀も前に読んだことがあるような、とっても懐かしいテイストで、ファンタジーなんていう言葉が似合わない冒険活劇です。まず、物語の世界感(ハハハ、世界観じゃないです)をチェックしておけば、後は子どものときの気持ちになって楽しめるでしょう。あれ、どっかで読んだような場面?なんてことは考えなくてもいいのです。

□ 19世紀半ば。英国の産業革命蒸気機関の発明によるものではなく、ニュートンの発明による錬金術的化学融合というエネルギー変換システムによるものである。そのエネルギーによる亜光速航法も可能であり、太陽系は大英帝国支配下にあるらしい。
□ 太陽系の宇宙空間は高真空ではなく、人間はちょっと息苦しいけれど何とか生きていられる。宇宙船内では彗星由来の氷から酸素を作っている。惑星や衛星にも大気があって、普通に生活できるのであんまり心配しなくていい。
□ 宇宙空間は生命に満ち溢れ、ありとあらゆる奇怪な生物が存在している。木星生まれのホバーホグは空中を飛び回って虫などを吸い込んで餌にするので、掃除機としての使用が可能である。何匹か欲しい。

愉快なイラストが豊富で、変な生物たちを簡単に想像できるので、スイスイ読めました。惑星での活劇も楽しく、ロンドン万国博覧会水晶宮に何が起こるか? 想像を超える面白さでした。もしかしたらこの本は、夏休みの課題図書になっているかも知れないので早く返しましょう。