壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

猫と針 恩田陸

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猫と針 恩田陸
新潮社 2008年 1200円

これも新着図書コーナーで見つけました。恩田さんの本なのに、借りられもせずに何故ここに?
恩田さんの初戯曲だそうです。

登場人物は喪服の男女五人。タナカ、サトウ、スズキ、タカハシ、ヤマダと没個性の名前ばかりで、さらにカタカナで書かれていては、字面から人物のイメージを作るのが難しいですね。会話だけから人物像が浮かび上がるのかと期待大です。この五人は久しぶりに再会した同級生で、共通の友人の葬儀に出席した後のようです。

会話が進むにつれて謎がいくつも提示されるのですが、いつまでたっても解明されず、別の謎が提示されていきます。この思わせぶりこそ恩田ワールド。それで結局なんだったの?なんて野暮なことはいいっこなしにしましょう。

巻末の「日記」では(恩田さんの七転八倒振りが書かれているのですが)、上演時間90分ということでした。読むスピードよりはかなりゆっくりしているのでどんな演出がなされたのでしょうか。ト書きが一切ないので、演出の自由度が高そうです。