壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

朗読者 ベルンハルト・シュリンク

イメージ 1

朗読者 ベルンハルト・シュリンク
松永美穂 訳 新潮クレストブックス 2000年 1800円

15歳の時、二十歳以上も年上のハンナを愛した「ぼく」、20歳の法学生として法廷でハンナに再会した「ぼく」、そして十数年ものあいだ彼女に本を朗読し続けた「ぼく」。その単声の静かな語りが心に沁みこんでくるようです。息もつかせず読み終えて、重いテーマでありながら、切なさや美しさすら感じました。

ハンナはなぜ突然に姿を消したのか、なぜ法廷で弁明しないのか、そして最期のなぜ。疑問の答えがすべて明らかになるわけではありません。彼女の重い過去と、見え始めてきたかのような未来と衝撃の結末。「ぼく」が過去を捨てきれないように、ドイツもまだ困難な問題を抱えているのでしょう。

今読み終わって感動中なので、今日は短めの感想です。