壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

青いガーネットの秘密

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青いガーネットの秘密 シャーロック・ホームズ”で語られなかった未知の宝石の正体
奥山康子 誠文堂新光社 2007年 1890円

シャーロック・ホームズの冒険」にある「The Adventure of the Blue Carbuncle」は「青いガーネット」もしくは「青い紅玉」という邦訳で知られています。鵞鳥の腹から出てきた宝石をめぐる話だったのはかすかに記憶していました。

本来カーバンクルというのは丸く磨かれた赤い石を意味し、具体的には、ルビーではなくガーネットの事だそうです。“青いガーネットが本当に存在するのだろうか”という疑問を出発点として書かれた鉱物学の本です。

ガーネット(柘榴石)は二種類の金属が珪酸と一定の比率で結晶構造を作りあげている鉱物の総称で、ざくろのような赤い色だけでなく、含まれる遷移金属成分の種類や比率によってオレンジ、ピンク、紫、緑色まであるそうです。多数のカラー写真で楽しむことができました。

青色のガーネットだけは天然には存在しないけれど、ホームズの時代にはなかったブルーガーネットも現在は人工的に作ることが可能だそうです。コナン・ドイルの発想の元になった青い宝石は何だったのか、いろいろに推理が巡らされています。

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シャーロック・ホームズを題材にした小説を多く見かけますが、こうした科学読み物にも“永遠の名探偵”の名前をよく見つけます。アマゾンでざっと検索しただけでも↓こんなに見つかります。

シャーロック・ホームズ、ヒトゲノムに出会う―ヒトゲノム計画は何をもたらすか
ワトスン君、もっと科学に心を開きたまえ―名探偵ホームズの科学事件簿
科学テクニックで名探偵になろう―めざせシャーロック・ホームズ
シャーロック・ホームズのチェスミステリー
シャーロック・ホームズのコンピュータ入門  
化学と犯罪(Chemistry and Crime from Sherlock Holmes to Today's Courtroom)など

四つの長編をはじめ短編(56編)もたぶん全部読みましたが、いつもの事ながらほとんど話を忘れているし、読みながら謎を解こうという気にはなれないので、私はホームジアンでもシャーロキアンでもありません。でもシャーロック・ホームズと冠された本は、図書館でつい手に取ってしまうのです。
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「シャーロックホームズ大全」鮎川信夫訳 
 講談社スーパー文庫 1986年 1980円

シャーロック・ホームズの作品の大部分(「恐怖の谷」と「事件簿」を除く)が一冊の本に納められているものです。訳者の鮎川氏の死去で、上記の二作品が未収録になってしまい残念ですが、当時の挿絵が載っています。ソフトカバーでわら半紙のような紙で活字も小さいので、いまさらこの本で読み直す気はしないのですが、事典替わりに使って便利な本です。