壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

移動都市

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移動都市 フィリップ・リーヴ
安野玲訳 創元SF文庫 2006年 940円

少し新しいSFをと思い立ちました。移動する都市とギルドの見習いなんて、プリーストの「逆転世界」を想像したのですが、雰囲気は全く異なりました。スチームパンク(でいいのかな?)冒険ファンタジーです。原題はMortal Engines、四部作Hungry City Chronicles の第一作です。

何千年も前に、『60分戦争』で旧世界文明は滅びていました。スチームエンジンによって都市は移動し、他の都市を襲っては乏しい資源をかき集め、なんとか生き残りを図っています。そういう都市間自然淘汰主義に反撥する、反移動都市同盟も大きな勢力を持っていす。

移動都市ロンドンに住むギルド見習いの孤児トムは、尊敬する史学ギルド長ヴァレンタインの命を狙う少女ヘスターと一緒に、都市の外(アウトカントリー)に放り出されてしまいました。怪我を負ったへスターを助けたトムの冒険旅行が始まります。

主人公たちの年齢は十代前半で、児童書として読まれうるものです。そのせいでしょうか、想起されるイメージはアニメーションの人物や場面でした。ロンドンという移動する大都市の大きさがなかなかイメージできませんでした。七層の構造からなり一番上にセント・ポール大聖堂がたっているんですけれど・・。そしてどれくらいのスピードで動くのか?大人はいろいろめんどくさい事が気になってしまいます。

旧世界文明の崩壊、木造の飛行船の飛び交う空、オールドテクと呼ばれる旧世界の科学を武器にしようと企む輩など、つい〇〇などを連想してしまいます。でも最後のほうはテンポのよい展開で楽しめました。この先どうなるのか、気になるところです。

2007年の星雲賞(海外部門)受賞作なんだそうですが、海外部門があるなんて知らなかった。一昨年のは「万物理論」(イーガン)だったんだ!受賞作を拾い読みしようかしら。

第二作「掠奪都市の黄金」が出ているらしいけれど、まだ図書館にはない・・。