スコットランドから渡った一族が暮らすケープ・ブレトン島の物語のモチーフがそこここに見られますが、長編の中で読むよりもっと荒削りで読み応えがあります。
船(1968) 漁師である父は海に出ないときは本を読んでいた。子どもたちが本を読むと、母はとても機嫌が悪かった。
広大な闇(1971) 祖父も父も坑夫として暮らした島を、ジェームズは十八歳の誕生日に出ていく
灰色の輝ける贈り物(1971) ビリアードで得た初めてのお金をめぐって、古風な両親との意見が食い違う
帰郷(1971) 10歳のアレックスの眼を通して、モントリオールで暮らす裕福な両親と、島で暮らす祖父母の価値観の違いが語られる。
秋に(1973) 長いこと一緒に暮らした馬を愛する父と、馬をやむを得ず売り払らおうする母と、馬の行く末に動揺する弟の三人を冷静にみる語り手の家族に対する愛情。
失われた血の塩の贈り物(1974) 大陸を横断して島を訪れた旅人は誰だったのか。両親を失ったという少年との関係は。
ランキンズ岬への道(1976) 90歳を超えて辺鄙な場所で一人暮らしをする祖母を訪ねたキャラム。祖母を老人ホームに入れたい親族と、ある事情を抱えるキャラム。
夏の終わり(1976) 坑夫として世界中で働き、死と隣り合わせの人生を送る男たちの夏の休暇の終わりと家族への思い。
家族のきずなと、きずなの強さから生じる葛藤がいろいろな角度から描かれていますが、どれもすばらしい作品です。