壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

掠奪美術館

イメージ 1

掠奪美術館 佐藤亜紀
平凡社 1995年 

1、アーニョロ・ブロンツィーノ「時と愛の寓意」
2、ジャック=ルイ・ダヴィッド「ナポレオンの戴冠」
3、ジャンバティスタティエポロアントニウスクレオパトラの出会い」
4、ロレンツォ・ロツト「書斎の男」
5、パルミジャニーノ「自画像」
6、ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル「トルコ風呂」
7、ルーカス・クラナッハ「ヴィーナスとキューピッド」
8、カナレット「サン・マルコ船着場」
9、モンス・デシデリオ「地獄」
10、J.サンチェス・コタン「マルメロ、キャベツ、メロン、胡瓜」
11、ヨハネス・フェルメール天文学者
12、ヴィットーレ・カルパッチォ「聖ウルスラの殉教」
13、ファン・メーヘレン「楽器を弾く女」
14、ギュスターヴ・モロー「スカイア門のヘレネー」

掠奪された絵画の解説かと思いきや、佐藤さんが掠奪して自分のものにしておきたい絵画と、絵画を前にしては言葉は役に立たず、絵を論じようという気は全くないとおっしゃる佐藤さんの、大胆不敵で面白いおしゃべりでした。

それぞれの絵は口絵にあります。それをみながら、・・・

1、絵の中に隠された寓意の伏魔殿の封印を解くべからず
2、ナポレオンの版図の拡大は、バブル期の百貨店の売り上げ拡大に似て
3、ヴェネツィア・ラビア宮に描かれる壁画天井画は、そのまま見るベシ
4、男の顔の美醜についての忌憚ない意見
5、ナルシシズムについて
6、ブタペストの温泉の女湯とアングルのトルコ風呂
7、見るという行為と見られるという行為
8、写真は真実を写すか
9、建造物内部の空間の歪みについて
10、一枚の出来のいい絵画は、思想性や時代精神と無関係
11、新古典以降の絵が好きでない理由
12、泰西名画調のセピア色はニスの汚れ
13、贋作だってかまわない
14、昔モローが好きだった

・・・・のような話を聞いて、フフッと笑ってしまいました。