壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

彗星の核へ

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彗星の核へ(上 下) グレゴリイ ベンフォード , デイヴィッド ブリン
山高 昭 訳 早川書房  1988年 

先週、ずっと行方不明だった彗星の核が細かく分裂していたというニュースを読んで、この本を思い出してしまいました。

半世紀近く行方不明になり、「謎の彗星(すいせい)」とも呼ばれた「シュバスマン・バハマン第3彗星」の核の一つが、50個以上に細かく分裂していたことが、国立天文台の研究チームによる25日までの解析で分かった。彗星の核はちりを含んだ氷で、太陽に近づくと一部が溶け、周囲を取り巻く「コマ」や尾を形成する。研究チームは昨年5月、同彗星が地球に最接近した際、米ハワイ島すばる望遠鏡の主焦点カメラで核の一つ「B核」が崩壊する様子の撮影に成功。当初は13個に分裂したとみられていたが、その後の画像解析で、54個の小さな破片に分かれていたことが判明した。4月25日 時事通信 

SFを読むことをやめ多くのSF本を捨てたあと、このハードSFを読みたくなって買ったのですが、その後本の整理をする必要に迫られて、捨てました。でもまた読みたくなって、先日図書館で借りました。なにをやっているのでしょうか。

長い話なので、気晴らしにざっと再読しようと思いましたが、あらすじも結末も全く思い出せず、結局全部読んでしまいました。二十年前の面白かったという記憶だけが残っているのです。せっかく読んだのにまた忘れそうなので、あらすじもメモします。

1986年のハレー彗星の大接近の年に出された本書は、次回の大接近の2061年に話がスタートします。

2061年、エドマンド・ハレー号はハレー彗星核に到着し、調査隊400人のメンバーが彗星の核に穿たれた深いトンネルで暮らしながら、78年におよぶ調査研究を続る予定です。さらに遠日点で、軌道修正してハレー彗星を資源として内惑星に持ち帰ろうという計画もあるみたいです。物語は、医学者であるサウル、下士官であるカール、コンピューター専門のヴァージニアの、三人の視点で交互に語られます。そしてその人間関係を中心に話が進んでいきます。

ほとんどの隊員が無事スリープ・スロットで眠りにつき、サウル、ヴァージニア、カールたちを含む第一当直がスタートしたとき、ハレー彗星土着の生物が現れて、乗組員が喰われてしまうのです。乗組員は多国籍で、さらに遺伝子改造されたパーセルといわれる人たち、それを排斥するアーク主義者の間に小競り合いがあって、帰還用の宇宙船はなくなるし、彗星生物に取り付かれるし、もう大騒ぎ。調査隊は帰還できるのでしょうか。

遠日点近くになるとさらに事態は悪化します。彗星生物汚染を回避しようと、地球は調査隊の帰還を阻止します。調査隊は、数個の部族に分かれて生活するようになり、アーク主義者さらにパーセル一派の反乱が起こり、ついに***が死亡します。その意識のすべてはサイバーネット上に流出していきます。そしてネット上であらたに自己組織化された人格が彗星全体をカバーするようになります。

近日点近くでは、その生体サイバネティックスの頭脳により地球からの核攻撃と太陽風の嵐をかわし、彗星核崩壊の危機を逃れて、宇宙の捨て子と化したハレー彗星は調査隊員と次世代の子どもたちを載せて、双曲線軌道を描きながら木星スイングバイし、さらにオールトの雲を目指して太陽系を旅立つのでありました。終わり。

彗星表面で作業するカールは骨伝導フォンでベートーベンのバイオリンソナタ5番を聴いているし、人工知能プリオンに感染した生体有機コンピューター、ハレー彗星に存在するシアン化水素を分解するシアヌートという原核生物とヒトとの共生、有機コンピューターとケーブルでつなぐ後頭部の神経タップ、クローン動物、パンスペルミアなど、20年前当時の最先端だった話題が満載です。

ハードSFでありながら、スペオペサイバーパンクの要素もあり、長いけれど楽しめました。面白かった! でもここにあらすじを書いたので、二度と読むことはないでしょう。でももっとSFが読みたくなりました。早川書房をのぞいて見ましょうか。今日の早川さんに聞いてみましょうか。

頭がSFになってしまって、須賀敦子の小説が読めません。別のものをクッションにしないと無理のようです。加齢と共に、頭の切り替えが遅くなりました。