壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

壊れかた指南

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壊れかた指南 筒井康隆
文芸春秋 2006年1650円

読みたいと思っていた本を図書館で見つけました。表紙がいいと思ったら、横尾忠則!。通りがかりに寄る、近所の本屋さんには、新刊といえども筒井康隆の本は置いてありません。田舎なのです。本屋さんで見つけたら、すぐに購入したくなったでしょうから、田舎の不便さもいいのかもしれません。

21世紀になってからの30編の短編とショートショートです。初期の短編を彷彿とさせるものが多いようで、昔、筒井ファンだった人は、必見です。例えば、「御厨木工作業所」はシュールなところが「フル・ネルソン」的です。「建設博工法展示館」では「接着剤」または「横車の大八」のような結末を予想していたところ、みごとにひっくり返されました。このへんが「壊れかた指南」なのかしら。だって「壊れかた指南」という題名の作品は載っていませんので。

「耽読者の家」がいい。世界の古典文学を、エンターテインメントとして、何ヶ月も何年もひたすら読み続ける人たちは、「旅のラゴス」ラゴスが不時着した宇宙船のなかで読書にふけるさまそのものです。アルツィバーシェフ、サバチニ、ハインリッヒ・マン、アプトン・シンクレア、ズーデルマンはまだ読んだことがないし、ディケンズの「荒涼館」は読んでない、なんて読みたい本がまた増えました。
アプトン・シンクレアの「人われを大工と呼ぶ」なんて聞いた事がないと思って調べたら、戦前に出た新潮社の世界文学全集にあったそうですが、この全集は見たことがありません。

筒井康隆の新刊「巨船ベラス・レトラス」がでたそうです。この「壊れかた指南」も書店の店頭で見かけたら、衝動買いする予定です(衝動買いとはいえないですが)。