壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

同期/欠落/変幻   今野敏

同期/欠落/変幻   今野敏

講談社文庫 電子書籍

竜崎というキャラクターを作り上げた『隠蔽捜査』は確かに面白かった。それでもシリーズ後半は飽きたので読んでいない。ミステリのシリーズ物はそのマンネリズムをどこまで続けられるのか,作者も苦労すると思う。

同じ著者の「同期」シリーズは今の所3冊まで出ている。一作目『同期』の電子書籍が一年前に¥96で投げ売りされていたので買っておいた。最近,二作目『欠落』と三作目『変幻』がともに50%OFFになっていたのでまとめて一気読みした。

シリーズ物だから当たり前かもしれないが,三冊の区別がつかないくらい同じようなストーリーでびっくりした。殺人事件と絡んだ,公安や組対の諜報活動や暴力団絡みの案件で,警察内部の縦割り組織に抵抗して,いささか向こう見ずな若手刑事の宇田川が,同期や先輩の刑事と力を合わせて事件を解決していくというような,若い刑事の成長物語なのだろう。

警察組織や階級の詳しいことにはあまり興味が持てず,公安絡みの外交事案,隣の国の諜報活動,外国の麻薬組織の暗躍なども,刑事たちの活躍の添え物に思えてしまう。ストーリー展開が冗長で何度も同じ話を説明されるので,とても親切で分かりやすい(笑)。

 

読んだ端から忘れそうな内容を書き留めたいがすでにあまり思い出せない。

『同期』 32歳の宇田川は捜査一課の新米刑事。公安に居たはずの入庁同期の蘇我が,懲戒免職され行方が知れなくなった。殺人事件を捜査しているうちに右翼の大物にたどり着いたり,警察のお偉いさんが物分かりよかったり,都合のよい展開だった。外交関連で不正に儲けている役人たちに行きついた。

『欠落』宇田川の同期の大石陽子は特殊班に配属されるが,身代わりの人質として連絡が取れなくなってしまった。拐帯犯を逃がそうとする動きさえある。若い女性の連続殺人とどう関連するのか? 蘇我から連絡があって,事件の全体像が見えてくる。日本の諜報活動って…。蘇我は地下に潜ったらしいが,たまにみんなとご飯を食べたりして,だいじょうぶなの?

『変幻』今度は大石が暴力団フロント企業に潜入捜査らしい。麻取(麻薬取締)が出てきて威張り散らすが,宇田川は取締官に食ってかかり,上司もそれを応援するという,うれしい展開。