壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

同姓同名 新津きよみ

同姓同名 新津きよみ

カドカワ文庫→アドレナライズ 電子書籍

「田中緑」という名前だったら,同姓同名はたくさんいるでしょうね。Facebookで探しても何十人も出てきますもの。

結婚して「田中緑」になった女と、もうじき「田中緑」になるはずだった女が交互に語って物語が進行していきます。「田中緑」になるはずだった女は路上で婚約者を殺され,「田中緑」になった女は濃厚な目撃者です。

両者の語る内容に少しずつ齟齬が見え始め,その矛盾を何が埋めるのか?がストーリーの推進力です。ほぼ想像通りの展開で,さらに偶然に偶然が重なって事件が解決し,和解も成立して女は「田中緑」ではなくなります。設定が安易な所も気楽に読める点かもしれません。

セカンドライフ』『二年半待って』が面白かったので同じ著者の本を選びました。公衆電話・固定電話と携帯電話の扱いに多少違和感がありましたが,もう20年も前の作品だそうです。