壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

恥ずかしい料理  梶谷いこ

恥ずかしい料理  梶谷いこ 

平野愛 写真  誠光社  図書館本

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吉本ばななの『キッチン』に自己流の料理とプロの料理はどこが違うのかという話が出てきて,料理の本を探していてこの本に行き当たった。元祖「恥ずかしい料理」といえば美味しんぼだけど,ああいう貧乏飯とはちょっと違う,いや違わないのか? よくわからない…

でも,いつも作っている料理には,作る人の人生観が反映されているという事がよくわかる面白いコンセプトの本です。そして,普段の料理をよそ行きの写真の取り方をすると,こんなに美しいんだな。

はじめに

「ほんまに恥ずかしいわ。ウチなんか、なんも撮るもんないで」

奥ゆかしくも、口を揃えるようにしてそう言い張る皆さんのお宅に上がり込み、「恥ずかしい料理」について根掘り葉掘りお伺いすることをスタートさせたのは、ちょうど“コロナ禍”の種火が燻りはじめた頃

そこには、マスメディアやインターネットを探してもどこにもないぬくもりとおかしさ、そして驚きと新鮮さがありました

飾らない、映えない、盛れない、とてもじゃないけど外に出せない。

他の誰でもない、自分や家族のためだけにある料理の数々―

声を大にしなくても、本当のゆたかさが、どうしようもなくここにある

珠玉の「恥ずかしい料理」を、愛と笑いを込めて

飾らない、映えない、盛れない、っていつも作っている料理ね。簡単にできておいしくて,自分としては満足だけど,他人にお見せするような料理ではない,こっそりブログに載せるやつだ。

ここにある7つの料理のうち,似たようなものを作っているのが4つ,「これは作れないわ」というのが2つ,作ってみたいのが1つ。

01 実家のそうめん 辛そうめん ♪今夏はそうめんを韓国風のピリ辛だれで食べた

02 変身する煮物 こんころ煮  ♪リメイクは通常業務 ポトフ→トマト味,→ごま豆乳味 →カレー味

03 審美眼の穴 肉だんご  ♪家族がいたころわが家では鶏むね肉をミンチにして大量の肉だんごを作った時期があった。

04 調和の味 アオリイカの沖漬け  ♪これは作れないわ アオリイカ釣ってるし…

05 出せない季節料理 しぐれ鍋   ♪作れそうだけど,やはりこれは作れないわ。低予算ではこんなにだし昆布使えない…

06 夢を叶えるめし 納豆たまごオクラ鶏肉混ぜ ♪生卵が苦手なもんで…。でも納豆キムチオクラトリハム載せ蕎麦は好き。

07 朝食の最適解 きゅうりトースト  ♪作って食べてみたい。 宮本輝の『水のかたち』に胡瓜のトーストサンドイッチがさんざん出てきて,おいしそうだった。主人公の女性が塩をしたきゅうりの水を絞るのに力の強い夫を頼っていたので,今までなんとなくあきらめていた。