壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

炎路を行く者 上橋菜穂子

炎路を行く者 上橋菜穂子

偕成社軽装版ポッシュ 2014年

 

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完結したと思っていた守り人シリーズのうれしいオマケがもう一つ。

守り人の登場人物には、本編で語られなかったけれど確かな物語がそれぞれにある。十代半ばのヒュウゴとバルサのそれぞれの成長が、深みのある言葉で、でも分かりやすく語られている。前作の『流れ行く者』は少々大人向きだったが、本作は若い人にもすんなり入っていく物語だとおもう。「十五の我には見えざりし・・・」という詩はなかなか印象的。

 

『炎路の旅人』

少年ヒュウゴはヨゴ皇国の武人の息子であったが、タルシュ帝国によって家族を殺され過酷な毎日を生きていた。その彼がなぜ敵国タルシュの軍人になっていったのか。短編とはいえ少年の成長物語として読みごたえがあった。ヒュウゴの複雑な人格に一層の深みが感じられた。『蒼路の旅人』を再読したい。

 

『十五の我には』

バルサとジグロの物語。『流れ行く者』には十三歳のバルサとジグロが出てきたけれど、十五歳のバルサはずいぶんと成長している。ジグロを守るためにジグロから離れて生きようと決心するのだが…。

 

次作『風と行く者』はジグロとバルサの話らしい。これも読まねば。電子書籍で「守り人シリーズ一括購入」をクリックしそうになっている私…