壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

翻訳の秘密 翻訳小説を「書く」ために 小川高義

翻訳の秘密 翻訳小説を「書く」ために 小川高義 研究社 2009年1700円 ラヒリの一連の翻訳で名高い小川高義さんの著書(既発表の文章が多い)。研究社から出ている横書きの本だけれど、翻訳のハウツーものではありません。翻訳の秘密を語る上で最低限の英語原…

色―世界の染料・顔料・画材―民族と色の文化史 アンヌ・ヴァリション

色―世界の染料・顔料・画材―民族と色の文化史 アンヌ・ヴァリション 河村真紀子/木村高子訳 マール社 2009年 2500円 色の文化史に興味を持って、赤や青の歴史や不思議な緑の話を読んできました。図書館で見かけたので手に取りましたが、これはカラー図版が…

猫とともに去りぬ ジャンニ・ロダーリ

猫とともに去りぬ ジャンニ・ロダーリ 関口英子訳 光文社古典新訳文庫 2006年 560円 「パパの電話を待ちながら」よりは、シュールな味が少なくて、皮肉や風刺の色合いの濃い短編集でした。でもその寓意はあまり考えずに楽しめばいいのでしょう。現代の民話と…

神南署安積班 今野敏

神南署安積班 今野敏 ケイブンシャノベルス 1998年 820円 「イコン」で神南署安積班シリーズには飽きてきたのですが、予約してあった本が回ってきて、読んでみればこれが連作短編で、やっぱり面白いんです。ありふれた事件が主題ではなく、それを捜査する刑…

パパの電話を待ちながら ジャンニ・ロダーリ

パパの電話を待ちながら ジャンニ・ロダーリ 内田洋子訳 講談社 2009年 1400円 パパはイタリア国内を旅して回るセールスマンで、毎晩九時に電話をかけて、娘にお話を聞かせています・・という設定で、ショートショートが五十数編。現代のイソップとも言える…

六本指のゴルドベルグ 青柳いづみこ

六本指のゴルドベルグ 青柳いづみこ 岩波書店 2009年 2000円 「ボクたちクラシックつながり」は音楽コミックを題材にした軽妙なエッセイで、ピアニストの裏事情に迫っていました。今度も同じようなスタイルで、音楽にまつわる小説をネタに、音楽論が展開され…

ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語 エドガー・アラン・ポオ

ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語 エドガー・アラン・ポオ 阿部知二ほか訳 ポオ全集東京創元新社 1970年 2500円 なかなか読み終わらなくて、一週間ぶりの更新になってしまいました。 「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物…

グラント船長の子供たち(上・下) ジュール・ヴェルヌ

グラント船長の子供たち(上・下) ジュール・ヴェルヌ 大久保和郎訳 ブッキング 2004年 各2500円 急に暑くなりボーッとしているせいか、読んだ本を記録するのが億劫です。でも本の内容を忘れる前に記録しておかないと、図書館に返却すればもう何も思い出せ…

九杯目には早すぎる 蒼井上鷹

九杯目には早すぎる 蒼井上鷹 FUTABANOVELS 2005年 800円 近頃ミステリーづいていまして、名前も知らなかった作家さんでしたが面白そう! 『大松鮨の奇妙な客』鮨屋で茶碗蒸しと握り鮨をぐちゃちゃに混ぜる客の意図は何か?唐突に反転した状況に驚かされます…

イコン 今野敏

イコン 今野敏 講談社 1995年 1800円 神南署安積班シリーズ。安積と同期の宇津木(本庁生活安全課)が主人公となって、パソコン通信とネット上のヴァーチャルアイドルを巡る殺人の捜査が行われます。仕事ばかりで妻子とうまくいかない宇津木が息子とコミュニ…

蓬莱 今野敏

蓬莱 今野敏 講談社 1994年 1700円 神南署安積班シリーズ。しかし安積係長の視点で書かれていないので、一種のスピンオフ作品です。『蓬莱』という日本古代史を題材にしたファミコンゲームソフトを巡って、開発会社の社長が脅され発売を妨害されます。暴力団…

十二国記 図南の翼 小野不由美

十二国記 図南の翼 小野不由美 講談社X文庫ホワイトハート 1994年 各650円 十二歳の少女珠晶が昇山して、危険な黄海を越えて供王になるまでが描かれます。頭の回転がはやく正義感を持ち、実行力のある珠晶ですが、気が強くて無謀な行動が目立つ女の子です。…

遺品 若竹七海

遺品 若竹七海 角川ホラー文庫 1999年 648円 金沢にある銀鱗荘ホテルには、亡き女優曾根繭子の遺品コレクションが秘蔵されています。繭子の遺品はコレクター大林一郎の繭子に対する異常なまでの執着を物語り、その公開準備を任された学芸員の「わたし」は次…

イエメンで鮭釣りを ポール・トーディ

イエメンで鮭釣りを ポール・トーディ 小竹由美子訳 白水社エクス・リブリス 2009年 2500円 ウッドハウスにちなんだ賞を受賞したという、とっても面白くてちょっとほろ苦い、イギリスのユーモア小説です。砂漠の涸れ川に鮭を遡上させようというトンでもない…

極北で ジョージーナ・ハーディング

極北で ジョージーナ・ハーディング 小竹由美子訳 新潮クレストブックス 2009年 1900円 1616年の夏の終わりに、北極海のスヴァーバル諸島の無人島に置き去りにされた一人の男。乗っていた捕鯨船は翌年の夏の初めに迎えに来ることになっていました。極北の地…