壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

警視庁神南署 今野敏

警視庁神南署 今野敏 ケイブンシャノベルズ 1997年 762円 安積班シリーズ六作目。『蓬莱』『イコン』は未読。 バブル崩壊で臨海副都心にあったベイエリア分署が閉鎖され、渋谷署と原宿署の間に新設された神南署に部下ともども移動になった安積係長が解決した…

ミケランジェロの暗号 ベンジャミン・ブレック, ロイ・ドリナー

ミケランジェロの暗号 ベンジャミン・ブレック, ロイ・ドリナー 飯泉恵美子訳 早川書房 2008年 3000円 『システィーナ礼拝堂に隠された禁断のメッセージ』という副題が示すように、ミケランジェロが傾倒していた新プラトン主義、ユダヤ教や神秘主義的な思想…

地軸変更計画 ジュール・ヴェルヌ

地軸変更計画 ジュール・ヴェルヌ 榊原晃三訳 ジャストシステム 1996年 1600円 ヴェルヌが「神秘の島」で語る科学技術礼賛に比べ、晩年の作「地軸変更計画」では科学文明を揶揄するような口調が見られます。 『月世界旅行』で活躍した大砲クラブの三人が北極…

十二国記 風の万里 黎明の空(上・下) 小野不由美

十二国記 風の万里 黎明の空(上・下) 小野不由美 講談社X文庫ホワイトハート 1994年 各650円 十二国記 第四作です。慶国の玉座に付いた陽子は、王としてなすべきは何かということに悩み戸惑い、王宮を出て身分を隠して里で生活を始めました。海客として蓬…

神秘の島(上・下) ジュール・ヴェルヌ

神秘の島(上・下) ジュール・ヴェルヌ 清水正和訳 福音館古典童話シリーズ21、22 1978年 各2000円 ヴェルヌの中でいちばん好きなのがこれです。特に第一部のサバイバル編が面白い。椎名誠の[http://blogs.yahoo.co.jp/rtpcrrtpcr/47900846.html 十五少年漂…

『十五少年漂流記』への旅 椎名誠

『十五少年漂流記』への旅 椎名誠 新潮選書 2008年 1000円 ジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』の無人島チェアマン島のモデルは、マゼラン海峡のハノーバー島であると長い間信じられていたが、日本人研究者がそれに異を唱えているらしい。ニュージーラン…

硝子の殺人者 今野敏

硝子の殺人者 今野敏 大陸書房 1991年 720円 安積班シリーズ第三作。三冊目にして「偉大なるマンネリ」の面白さです。 TV界の内情がらみの殺人はありきたりですが、あとがきで作者がトリック先行のミステリでなく、人間臭い刑事ドラマを書きたかったとあるよ…

虚構の標的 今野敏

虚構の標的 今野敏 ケイブンシャ文庫 1997年 514円 七階から落ちてきた男には絞殺痕があり、テレビ局の人気プロデューサーの殺人事件と断定されます。安積班シリーズ第二作。「二重標的」でおなじみになったベイエリア分署刑事課の面々が、今回も本庁刑事を…

鼓笛隊の襲来 三崎亜記

鼓笛隊の襲来 三崎亜記 光文社 2008年 1400円 暖かくなったせい?か、読書が毎日一冊のペースになっていますが、そろそろ息切れ。でもこれはあっという間に読了しました。『廃墟建築士』も面白かったけれど、この9つの短編も、不思議が余韻となってどこか寂…

殺人にうってつけの日 ブライアン・フリーマントル

殺人にうってつけの日 ブライアン・フリーマントル 二宮馨訳 新潮文庫 2007年 860円 冷戦後、失業したエスピオナージやスパイたちはどうしているのかと思っていたら、こんなところにいました。 元CIA工作員のメイソンは、協力者のKGB工作員ソーベリに裏切ら…

十二国記 東の海神 西の滄海 小野不由美

十二国記 東の海神 西の滄海 小野不由美 講談社X文庫ホワイトハート 1994年 610円 雁国の王と麒麟の物語。第一話で陽子が「景王」となったころには、十二国の中で最も裕福で安定した雁国でしたが、それより五百年前の出来事。延王 尚隆、延麒 六太は共に胎果…

容疑者Xの献身 東野圭吾

容疑者Xの献身 東野圭吾 文春文庫 2008年 660円 TVも映画も見ていないし、探偵ガリレオシリーズは一つも読んでいないのに、貰い物なので三作目だけ読みました。湯川学の変人ぶりがよく分からないのと、容疑者石神の人物像に対する思い入れができませんでした…

黒のトイフェル(上・下) フランク・シェッツィング

黒のトイフェル(上・下) フランク・シェッツィング 北川和代訳 ハヤカワ文庫NV 2009年 各700円 「グルメ警部キュッパー」ではユーモアミステリ、「知られざる宇宙」でノンフィクション、「深海のYrr」では近未来SFと、多彩な作品のシェッツィングのデヴュ…

追伸 真保裕一

追伸 真保裕一 文藝春秋 2007年 1500円 貰い物ミステリです。十数年ぶりに読んだ真保さんの作品。今までずっ~と「まほ」さんだと思っていましたが「しんぽ」さんだったのね。索引を作ろうとして気が付きました。確かデヴュー作『連鎖』から『ホワイトアウト…

魔性の子 小野不由美

魔性の子 小野不由美 新潮文庫 1991年 590円 前回読んだ「風の海 迷宮の岸」で、異界に戻された泰麒(高里)が再び現代の日本に戻っているようです。無事に泰王を選び泰国の再興に尽力しているはずの泰麒が一年と少しでまた蓬莱に戻ってしまったのはなぜなの…

十二国記 風の海 迷宮の岸(上・下) 小野不由美

十二国記 風の海 迷宮の岸(上・下) 小野不由美 講談社X文庫ホワイトハート 1993年 各440円 「十二国記」二作目。時代は一作目「月の影 影の海」より少し前です。蓬莱生まれの蒿里要は十歳の時、泰国の麒麟である泰麒としてこの世界に呼び戻されました。蓬…

ディビザデロ通り マイケル・オンダ-チェ

ディビザデロ通り マイケル・オンダ-チェ 村松潔訳 新潮クレストブックス 2009年 2200円 哀しくて美しい、心惹きつけられる作品に出会いました。場所も時間も越えてかすかにつながる幾つもの物語には、はじまりも終わりもないのでしょう。一人の人間の中に…

二重標的 今野敏

二重標的 今野敏 ハルキ文庫 2006年 680円 今野さんの「安積班シリーズ」第一作です。「隠蔽捜査」がヒットしてからこの文庫(ハルキ文庫というのを初めて見ました。)で刊行されていますが、もともとは1996年に書かれた警察小説ですから、「隠蔽捜査」の原…

十二国記 月の影 影の海(上・下) 小野不由美

十二国記 月の影 影の海(上・下) 小野不由美 講談社X文庫ホワイトハート 1992年 各530円 たぶんこの順序でいいんでしょうね。娘から借りた十二国記をさっそく読みました。このレーベルの本を読むのは初めてです。ギアがトップに入っている感じでかなりの速…

灯台へ ヴァージニア・ウルフ

灯台へ ヴァージニア・ウルフ 鴻巣友季子訳 河出書房新社 世界文学全集II-01 2009年 2600円 精緻な心理描写というか、意識の流れを描いた小説は苦手ですが、本書は楽しむことができました。とくにラムジー夫人とリリーの心理が高い解像度で描かれていて、い…

はるかなるわがラスカル スターリング・ノース

はるかなるわがラスカル スターリング・ノース 亀山龍樹訳 小学館ライブラリー 1994年 820円 Yahoo動画で「あらいぐまラスカル」を見かけ、懐かしくなって原作を読み返しました。アニメテーマソングは作詞が岸田衿子でしたね。とくにエンディングの「おいで…

幸せな秋の野原 エリザベス・ボウエン

幸せな秋の野原 エリザベス・ボウエン太田良子訳 ミネルヴァ書房 2005年 2500円 「あの薔薇を見てよ」に続くボウエン・ミステリ短編集です。しかし、第一集にはあったいわゆるミステリ作品は一編もありませんでした。読み飛ばしてしまうと何のことだか分らな…

シャムロック・ティー キアラン・カーソン

シャムロック・ティー キアラン・カーソン 東京創元社 2009年 3200円 姉妹編の「琥珀捕り」同様、摩訶不思議な本です。でもストーリー性が加味されて、さらに101の小さな章から構成されているので、ずっと読みやすいかもしれません。カーソン少年とその従姉…