壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

夢十夜 夏目漱石

夢十夜 夏目漱石 ポプラ社 百年小説より 2008年 6930円 図書館で見かけた厚い本をつい借りてしまいました。明治から昭和初期までの51の短編が集められています。1300ページ超で、2kg以上あるので、机の前にきちんと座って読まなければいけません。いつものス…

憑かれた鏡 エドワード・ゴーリー編

憑かれた鏡 エドワード・ゴーリー編 柴田元幸、小山太一、宮本朋子訳 河出書房新社 2006年 1800円 正直書評金斧賞の「エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談」です。ホラーや怪奇が苦手なはずなのに、読みたくなってしまいました。19世紀終わりから20世紀の…

西洋博物学者列伝   ロバート・ハクスリー編著

西洋博物学者列伝 ロバート・ハクスリー編著 植松靖夫訳 悠書館 2009年 9500円 図鑑サイズで多数の博物画が紹介されているので、ぱらぱらと眺めようと借りてきたのですが、「アリストテレスからダーウィンまで」39人の個性的な博物学者の伝記が面白くて、二…

クール・キャンデー 若竹七海

クール・キャンデー 若竹七海 祥伝社文庫 2000年 381円 若竹さんの葉崎シリーズ第三作は、小粒でピリリと辛い中篇でした。「古書店アゼリアの死体」と同じ年に刊行されていて、「ヴィラ・マグノリア」の住人(鬼頭と中里)がちょっと登場します。そしてヒロ…

東京奇譚集 村上春樹

東京奇譚集 村上春樹 新潮社 2005年 1400円 二年たって文庫本が出た頃にハードカバーを古本屋で買い、読み始めるのが億劫でさらに二年寝かせていた本です。ニュースで思い出しなんとなく読み始めると、あまりに読みやすい文章に拍子抜けするくらいで、2―3時…

プラスマイナスゼロ 若竹七海

プラスマイナスゼロ 若竹七海 ジャイブ 2008年 1200円 葉崎シリーズ最新作です。今回の舞台は山の上にある葉崎山高校。小さな葉崎市に三つも高校があるのが不思議なんだそうですが、「猫島ハウスの騒動」の高校生たちはどの学校だったのでしょうか(覚えてい…

正直書評 豊崎由美

正直書評 豊崎由美 学習研究社 2008年 1500円 最近、読書が停滞気味です。冊数はそこそこですが、小説が読めなくて元気が出ません。そんな時には豊崎さんの書評本が効きそうです。本が好きで好きでたまらない様子、本を読んでいる時のワクワク/ゾクゾク感が…

悪童日記 アゴタ・クリストフ

悪童日記 アゴタ・クリストフ 堀茂樹訳 ハヤカワepi文庫 2001年 620円 読みたいとおもっていた本をたまたまブックオフで見つけました。本を買うのは何ヶ月ぶりかしら。 場所も時代もはっきりせず登場人物の名前さえ出てこない物語が、これほどまでに印象的な…

ガーデニングに心満つる日 マイケル・ポーラン

ガーデニングに心満つる日 マイケル・ポーラン 小林勇次訳 主婦の友社 1998年 2800円 「欲望の植物誌」の著者によるエッセー。かつて牧場だった土地を手に入れて、七年間、ほぼ自力で庭を造った経験から書かれた本です。庭でスコップを振るいながら、苗の植…

未見坂 堀江敏幸

未見坂 堀江敏幸 新潮社 2008年 1400円 「雪沼とその周辺」の続編に当たるのでしょう。地方の小さな町に暮らす人々の日常を描いた連作短編です。いくつかの作品に登場するのが同じ少年なのかどうかはハッキリしません。むしろ意図的にずらして描かれているの…

20世紀の幽霊たち ジョージ・ヒル

20世紀の幽霊たち ジョージ・ヒル 白石朗ほか訳 小学館文庫 2008年 980円 ホラーは苦手なんですが、なになに? スティーヴン・キングの息子だって? というミーハー的興味もあって読み始めました。16編の短編(と謝辞の中にもう一編)は多種多様だけれど、少…

幻影の書 ポール・オースター

幻影の書 ポール・オースター 柴田元幸訳 新潮社 2008年 2300円 現代アメリカ文学は何故か『読まず嫌い』、オースターは初めてです。図書館の新刊本棚に並んでいなければ読まなかったかもしれません。・・・・ところが、なんと面白くて感動的ですらありまし…

情熱の女流「昆虫画家」  中野京子

情熱の女流「昆虫画家」 メーリアン波乱万丈の生涯 中野京子 講談社 2002年 1900円 もう一冊、マリア・シビラ・メーリアンです。前回のこれは一次資料を元に緻密に書き上げられた評伝ですが、本書は、はるかに通読しやすいです。歴史上の人物を生き生きと描…

マリア・シビラ・メーリアン 17世紀、昆虫を求めて新大陸へ渡ったナチュラリスト キム・トッド

マリア・シビラ・メーリアン 17世紀、昆虫を求めて新大陸へ渡ったナチュラリスト キム・トッド 屋代通子訳 みすず書房 2008年 3200円 17世紀の中ごろ、フランクフルトに、印刷工房の娘として生まれたマリア・シビラ・メーリアン(Maria Sibylla Merian)は16…

あした天気にしておくれ  岡嶋二人

あした天気にしておくれ 岡嶋二人 講談社文庫 1986年 590円 図書館に行けず、気軽に読めるものを積読本の中から一冊。 四人の馬主が共同所有しているサラブレッド「セシア」は三億二千万円の値段がついていました。そのセシアが牧場で骨折し、それを隠蔽する…

危ない食卓 十九世紀イギリス文学に見る食と毒

危ない食卓 十九世紀イギリス文学に見る食と毒 横山茂雄編 新人物往来社 2008年 2000円 題名だけ読んでミステリの話かと思って借りてきたら、想像していた内容からはかなり外れていました。英文学会のシンポジウムを一冊の本にまとめたということで、真面目…

白の闇 ジョゼ・サラマーゴ

白の闇 ジョゼ・サラマーゴ 雨沢泰訳 NHK出版 2008年 1800円 男が交差点で突然に視力を失った。見えなくなったというよりは、視野がすべて白い光で充たされた。その「白の闇」は次々に感染していった。感染者たちは市当局によって、市内の精神病院に隔離され…

旅する遺伝子 スペンサー・ウェルズ

旅する遺伝子 スペンサー・ウェルズ 英治出版 2008年 1900円 副題は「ジェノグラフィック・プロジェクトで人類の足跡をたどる」。世界各地の先住民など数十万人のDNAをもとに、人類がアフリカを旅立って世界に広がり現在に至るまでの道のりをたどっています…

レイチェル   ダフネ・デュ・モーリア

レイチェル ダフネ・デュ モーリア 務台夏子訳 創元推理文庫 2004年 1260円 短編集「鳥」 「破局」がなかなかのものだったので、第二の「レベッカ」といわれる本書も読んでみました。 「わたし」フィリップ・アシュリーは24歳、19世紀末コーンウォール地方の…