壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

時間とは何か 池内了

時間とは何か 池内了 ヨシタケシンスケ絵 講談社 2008年 1500円 絵本のような科学読み物です。クスッと笑えるほのぼのイラストと池内さんのこなれた文章で、気軽に楽しめました。中学生からお年寄りまで誰にでも楽しめる感じですが、内容は盛りだくさん。時…

タナスグ湖の怪物 グラディス・ミッチェル

タナスグ湖の怪物 グラディス・ミッチェル 白須清美訳 論創海外ミステリ 2008年 2000円 グラディス・ミッチェルの4冊目「タナスグ湖の怪物」は、ブラッドリー夫人シリーズの48作目、1974年に書かれたものです。邦訳された6冊の中では一番新しいけれど、残り…

ハワーズ・エンド E.M. フォースター

ハワーズ・エンド E.M. フォースター 吉田健一訳 河出書房新社 世界文学全集I-07 2008年 2600円 中学生のころ、英語の先生のお勧めで読んだJ.オースティンはとても退屈だったのに、三十代で再読した「高慢と偏見」はびっくりするくらい面白かったんです。書…

キングとジョーカー ピーター・ディキンスン

キングとジョーカー ピーター・ディキンスン 斎藤数衛訳 サンリオSF文庫 1981年 420円 「封印の島」を読んだときに教えていただいた本です。 面白かった! SFなのか? サンリオSF文庫に入っているし、巻頭のイギリス王室の家系図をみると明らかに架空のもの…

草原に落ちる影 カーレン・ブリクセン

草原に落ちる影 カーレン・ブリクセン (イサク・ディネセン) 桝田啓介訳 筑摩書房 1998年 1900円 「アフリカの日々」(イサク・ディネセン)が素晴らしかったので、その余韻を楽しみたくて、その続編ともいうべき短編集を読みました。この短編集は作者の生…

恋する植物―花の進化と愛情生活 ジャン‐マリー・ペルト

恋する植物―花の進化と愛情生活 ジャン‐マリー・ペルト ベカエール直美訳 工作舎 1995年 2500円 動物の本ばかりでなくたまには植物関連の本を読みましょう。原書が1980年の出版でちょっと古かったかな。副題にあるように植物の性進化の話で、植物系統分類学…

廊下に植えた林檎の木 残雪

廊下に植えた林檎の木 残雪 近藤直子/ 鷲巣益美訳 河出書房新社 1995年 1800円 残雪の描き出すのは、なんとも奇妙な世界です。現代中国文学を少し読もうかと選んだ本ですが、いつもほぼ行き当りばったりに図書館で借りてくるので、ずいぶんと予想外でした。 …

ベルリン終戦日記 ある女性の記録

ベルリン終戦日記 ある女性の記録 白水社 2008年2600円 1945年4月20日から6月22日までの約二ヶ月間、34歳の女性ジャーナリストによって三冊のノートぎっしりに綴られた非凡な記録は、1954年に英訳が発表され、ドイツ語版は五年後にスイスで出版されましたが…

ぶぶ漬け伝説の謎 裏京都ミステリー 北森鴻

ぶぶ漬け伝説の謎 裏京都ミステリー 北森鴻 光文社 2003年 1400えん 「支那そば館の謎」に続き、ますますドタバタ感の増す、新聞記者折原けいと、ムンちゃんことバカミス作家水森堅のコンビです。このコンビにうんざりしている元広域窃盗犯有馬次郎と、京都…

支那そば館の謎 裏京都ミステリー 北森鴻

支那そば館の謎 裏京都ミステリー 北森鴻 光文社 2003年 1500えん 前の日に読んだものの余波で、裏京都ミステリー(小京都ミステリーか!)と銘打った連作短編シリーズの一作目を読みました。先日、「なぜ絵版師に~」を読んだせいか、この本でもタイトルが…

有頂天家族 森見登美彦

有頂天家族 森見登美彦 幻冬舎 2007年 1500円 森見さんの「夜は短し歩けよ乙女」は楽しかったけれど、若い人たちの大騒ぎについていくのは、年寄りにとっては、ちと辛かった。ところがこの「有頂天家族」では、登場人物といっしょになって楽しめました。登場…

やし酒飲み エイモス・チュツオーラ

やし酒飲み エイモス・チュツオーラ土屋哲訳 河出書房新社 世界文学全集I-08 2008年 2800円 『アフリカの日々』と同じ巻に収められていましたが、異質なものなので、ちょっと間を置いてみました。あまりに奇妙で、なんか可笑しくて、民話としてどこかで読ん…

八月十五日の夜会 蓮見圭一

八月十五日の夜会 蓮見圭一 新潮社 2008年 1500円 沖縄出身の祖父が亡くなって大学生の東江秀二が散骨のために名護の海に向かう日、祖父の戦友だという前島勇作に、名護市にいる当間老人の見舞いを頼まれました。見舞いの礼にと当間老人の娘に手渡されたのは…

酔郷譚 倉橋由美子

酔郷譚 倉橋由美子 河出書房新社 2008年 1500円 桜花変化/ 広寒宮の一夜/ 酔郷探訪/ 回廊の鬼/ 黒い雨の夜/ 春水桃花源/ 玉中交歓 桂子さんの物語もこれで最後かと思うとさびしいです。桂子さんの晩年のパートナーは入江氏です。その孫にあたる入江慧…

アフリカの日々 イサク・ディネセン

アフリカの日々 イサク・ディネセン 横山貞子訳 河出書房新社 世界文学全集I-08 2008年 2800円 第一次世界大戦が始まったころ、20代の終わりにスウェーデンの貴族と結婚してアフリカに渡り、その後17年間に渡ってケニアでコーヒー農園を経営した女性、デンマ…

ザ・インタープリター ディヴィット・ジェイコブズ

ザ・インタープリター ディヴィット・ジェイコブズ 富永和子訳 徳間文庫 2005年 590円 通訳 ディエゴ・マラーニ、と通訳/インタープリター スキ・キムを読んだときに教えていただいた同名本です。毎月たくさんの本が出版されるわけですから、同じ題名の小説…

本から始まる物語

本から始まる物語 メディアパル 2007年 1300円 18名の作家が「本」「本屋」をテーマにした短編で、書店向け広報誌『しゅっぱんフォーラム』連載を単行本化したものだそうです。読んだことのない作家が半分以上です。「やはりうまい!」と感じ入るものから「…

プリズン・ストーリーズ ジェフリー・アーチャー

プリズン・ストーリーズ ジェフリー・アーチャー 永井淳訳 新潮文庫 2008年 700円 「大統領に知らせますか」「百万ドルを取り返せ」「ケインとアベル」から「十二本の毒矢」まではたぶん欠かさず読んだけれど、その後ジェフリー・アーチャーをまったく読まな…

ラークライト 伝説の宇宙海賊 フィリップ・リーヴ

ラークライト 伝説の宇宙海賊 フィリップ・リーヴ 松山美保訳 理論社 2007年 1800円 「移動都市」や、「掠奪都市の黄金」のフィリップ・リーヴの新たなシリーズです。「移動都市」シリーズはYAですが、本書は小学生中高学年向きです。 ぼく(12歳の少年アー…

カラスはなぜ東京が好きなのか 松田道夫

カラスはなぜ東京が好きなのか 松田道夫 平凡社 2006年 1800円 我が家の二階の窓から見える小高い茂みにカラスの巣があるらしいのです。種類はよく分かりませんが、カラスが常時出入りし、先月は鳶が近くの給水塔にとまっているのを頻繁に見かけました。結局…

果断 隠蔽捜査2 今野敏

果断 隠蔽捜査2 今野敏 新潮社 2007年 1500円 「隠蔽捜査」の続編です。あまりに面白いので、久しぶりに一日に二冊読んじゃいました。これはミステリ部分も工夫があって楽しめました。 竜崎伸也は警察庁から警視庁への降格人事となったのですが、といっても…

隠蔽捜査 今野敏

隠蔽捜査 今野敏 新潮社 2005年 1600円 よくできた警察小説で、とにかく面白くて途中で読むのをやめられませんでした。いわゆる刑事物ではなくて、事務方の警察官が主人公になっているところは、ちょっと、横山秀夫の作品に似ていますね。 警察庁長官官房総…

禁断の科学 池内了

禁断の科学 池内了 晶文社 2006年 1900円 以前、NHKの「知るを楽しむ」で池内さんの「禁断の科学」が放送されました。テキストまで用意していたのに、何か忙しいことがあって番組も見ず、テキストも開かないまま忘れていました。晶文社から同名の本が出て…

バーナム博物館 スティーヴン・ミルハウザー

バーナム博物館 スティーヴン・ミルハウザー 柴田元幸訳 福武書店 1991年 1700円 「ナイフ投げ師」であまりにも濃厚なミルハウザー世界を知り、今は亡き福武書店の「バーナム博物館」を書庫より借り出しました。読めば読むほどに妄想が刺激される物語ばかり…

月が昇るとき グラディス・ミッチェル

月が昇るとき グラディス・ミッチェル 好野理恵訳 晶文社 2004年 2400円 ワトスンの選択、ウォンドルズ・パーヴァの謎と読んできたミセス・ブラッドリーシリーズ。グラディス・ミッチェル本人の、もっともお気に入りの作品が、本書「月が昇るとき」だそうで…